第25節「混沌のラメンタービレ」
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論に辿り着いた。
(何の罪もない人々が大勢死ぬよりは……。私達の個人的な感情より、優先されるべきは救われる命の数よね……)
苦渋の決断の後、マリアはナスターシャ教授からの提案を承諾。
フィーネを名乗り、今に至るのだった。
そして現在、日本国内 沖ノ鳥島付近の海域。
静寂の夜空を、エアキャリアは姿を隠して飛行する。
その操縦桿を握るマリアは一人、今朝、ナスターシャ教授に言われた言葉の意味を考え続けていた。
(マムはこれ以上フィーネを演じる必要はないと言った……。神獣鏡とネフィリムの心臓……フロンティア起動の鍵が揃った今、どうしてマムは、嘘を吐く必要はないと言ったのか……)
モニターには、エアキャリアの現在位置と、目前に迫る目的地が表示されている。
東経135.72度、北緯21.37度付近……。
【FRONTIER DESTINATION】と表記されたその座標には、まるで大陸のようなシルエットが示されていた。
ff
その頃、調と切歌は医務室にて、ウェル博士によるメディカルチェックを受けていた。
ベッドに寝かされ、スキャナーが二人の身体に残るLiNKERの影響を精査していく。
「オーバードーズによる不正数値も、ようやく安定してきましたね」
「よかった……。これでもう、足を引っ張ったりしない」
切歌のメディカルチェックが無事に完了し、調は安心したようにそう言った。
「LiNKERによって装者を生み出す事と同時に、装者の維持と管理もあなたの務めです。よろしくお願いしますよ」
「分かってますって。勿論、あなたの身体の事もね」
あなたの命綱は自分が握っている、と暗に言われているようで、ナスターシャ教授はウェルを睨みつけた。
今朝……落下してきた鉄パイプから、アタシと調を守った謎のバリア。
アレはどう見たって、普通の人間には出来ないトンデモ……。
なんで、あんなものが……。
(あれは……アタシのしたことデスか……? あんな事、どうして……)
それが何かを理解した瞬間、アタシの全身を悪寒が駆け巡る。
(いや、でも……あんなことができるのは……じゃあ、今、アタシの中には……)
間違いない。あれはフィーネが有する能力……。
それはつまり、アタシの中に刻まれたフィーネの刻印が、目覚めかけているということ。
それが意味する事実に気が付いた瞬間、全身から冷たい汗が噴き出す。
「どうしたの、切ちゃん?」
「ッ! なっ、なんでもないデスよ〜!」
顔を覗き込もうとしてきた調に、思わず手を振りながら慌てて答える。
「そう?」
「そ、それよりアタシ、お腹すいたデス! 今日の晩ゴハンは何デスか〜?」
「えーっとね
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