第25節「混沌のラメンタービレ」
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数か月前、F.I.S.内シミュレータールーム
武装組織フィーネとして決起するより前の事。
マリアはツェルトと調、切歌を伴い、戦闘訓練を行っていた。
最新鋭のMR技術を使ったシミュレーターは、二課のものよりも高い精度でのシミュレーションが可能であり、静電気を用いることで敵生体の感触さえ再現するというオーバーテクノロジーっぷりを誇る。
これ一つ取ってみても、米国の異端技術応用がどこまで進んでいるかが見て取れる。
「はぁぁぁぁぁッ!」
「やぁッ!」
「でぇッ!」
ただ、ナスターシャ教授の訓練は甘くない。
ノイズに紛れて一般人も紛れ込むのが、この訓練の厳しいところだ。
間違って一般人を攻撃した瞬間、訓練は失敗。シミュレーションが一時中断するようにプログラムされている。
ノイズを攻撃する傍から飛び出してくる一般人をなんとか避けながら、マリアはノイズだけを撃破していく。
そこまで数は多くないとはいえ一瞬でも気が散れば、その裂槍は無辜の命を貫き、殺すだろう。
ノイズだけに集中するマリア。その耳に、ナスターシャからの通信が入った。
『マリア、この回線はあなたにだけ繋いでいます。調と切歌、ツェルトの三人には、私達の声は届いていません』
「またあの話? 私にフィーネを演じろと」
ここ数日、ナスターシャはマリアにそんな話を持ち掛けていた。
ルナアタックの後、米国政府は月軌道のズレと、そこから生じる災厄に関する情報を隠蔽し、自分達だけが助かる為の計画を進めている。
それを快く思わないナスターシャは、自国政府に敵対する事を承知で、彼らの計画に必要なものを掠め取る計画を建てていたのだ。
『私達の計画遂行のためには、ドクター・ウェルの助力が不可欠。彼をこちらへ引き入れるためには、あなたの身体にフィーネが再誕したこととし、我々こそが異端技術の先端を所有してると示せば、彼はきっと……』
「無理よ……。確かに私達はレセプターチルドレン、フィーネの魂が宿る器として集められた孤児だけど、現実は……魂を受け止められなかったわ。今更そんなッ!」
アームドギアから放たれる一筋の閃光。
その輝きは一直線にノイズを焼き払ったが……同時に、ノイズに囲まれていた一般人を貫いた。
「ッ!?」
「マリィ……?」
【Failed Mission Incomplete】
ミッション失敗を示す赤いウィンドウが表示され、ツェルト達が振り返る。
投影機が稼働を停止し、周囲は深夜の街から殺風景なシミュレータールームへと戻っていった。
「どうしたんだマリィ、君らしくも──」
ツェルトがマリアに駆け寄ろうとした時、シミュレータールームの入り口から拍手が彼の言葉を遮る。
「──この空気の読めなさ、何
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