三十六 主従
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る者を体内に取り込み、異空間を作り出して、相手の精神を覚めることのない眠りにつかせる。
要するに乗っ取られた者の強い意志は残留思念となり、乗っ取った者の中に残る故、乗っ取られた対象が消えてしまうわけではない。
つまり、乗っ取った相手の中で、決して目覚めぬ眠りについているのだ。
大蛇丸がサスケの身体を乗っ取ったのか。それとも…────。
カブトの問いに、サスケは静かに聞き返した。
「どっちだと思う?」
その返答で、カブトは悟った。
大蛇丸は、こんな回りくどい返事をしない。
ならば、目の前にいるこの青年は───。
「俺が奴の…大蛇丸の全てを乗っ取ったのさ」
サスケは嗤う。
この眼の前では、【写輪眼】の前では大蛇丸だとしても逆らえない。
大蛇丸に強襲され、【不屍転生】で器にされそうになったものの、写輪眼の瞳力で術を跳ね返したサスケは逆に乗っ取ったのだ。
即ち、大蛇丸はサスケの内で、覚めることのない眠りについている。
しかしながら、サスケは知らない。
大蛇丸を容易に乗っ取れた理由が自分の実力だけではない事実を。
大蛇丸がサスケに負けた敗因は三つ。
木ノ葉の忍びと対戦し、九尾化した波風ナルと闘ったばかりであったこと。
更に、発動させた【八岐の術】によって、大蛇丸のチャクラが枯渇していたこと。
そして、もうひとつ。
「残念だったな、カブト」
サスケの言葉を、カブトは顔を俯かせて黙って聞いていた。その肩が小刻みに震え始める。
恐怖か、もしくは己の主人を乗っ取られた悔しさか。
だが、サスケの予想はどちらにも当てはまらなかった。
想像の範囲外だった。
「くく…ハハハハハハハハ…!!」
カブトは、笑っていた。
蛇の鱗を思わせる長い長い廊下に、カブトの哄笑が轟く。
眉をひそめるサスケの前で、ひとしきり笑ったカブトは、「いやぁ、ごめんごめん」と眼鏡を外した。
笑いすぎて溢れた涙を指で拭き取る。
「そうか。大蛇丸さまはもういないのか…礼を言うよ、サスケくん」
「………なに、を」
予想と違うカブトの反応に、サスケは顔を顰める。
サスケの顔をじっくり眺め、カブトはくつり、と口角を吊り上げた。
「サスケくん…君は確かに強い。だが、天才とは言えないな」
突然の失礼極まりない言葉に、サスケはピクッと眉根を寄せた。
「僕は真の天才を知っている…。天才という言葉に相応しい人間が彼をおいて他にいるだろうか?」
否、いない、とカブトは両腕を広げて、高
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