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戦国異伝供書
第八十九話 初陣での大手柄その五

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「川を渡るそ」
「そうしますか」
「そうして退きますか」
「川を渡るのですか」
「今は渡るだけの力がある」
 兵達にというのだ。
「だからな」
「今のうちにですか」
「退きますか」
「その様にしますか」
「その様にする、そしてな」
 そのうえでというのだ。
「そこからじゃ」
「仕掛けるのですか」
「退いてから」
「その様にしますか」
「兵が疲れるのもわかっておった」
 それはというのだ。
「既にな」
「左様ですか」
「そのこともですか」
「頭に入れておられましたか」
「人は疲れるものじゃ」
 そうだというのだ。
「だからな」
「既にですか」
「そうしたことも頭に入れて」
「戦われていましたか」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「今退く、そしてな」
「そのうえで、ですか」
「川を渡りますか」
「そうもしますか」
「今は疲れておるがそれでもな」
 その千の軍勢をというのだ。
「充分に動ける、動けるうちにな」
「退く」
「そうするのですか」
「そしてですか」
「仕掛けるのじゃ、では退くぞ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 元就は千の軍勢を退かせた、兵達は確かに疲れていたが元就の読み通りに充分に動くことが出来た。その為に。
 彼等は素早く川の方に向かって退いた、元繁はその動きを見て言った。
「追うぞ」
「はい、それでは」
「これよりですな」
「攻めるのですな」
「追って」
「その様にする」
 こう兵達に話した。
「よいな」
「わかり申した」
「それではです」
「追いましょう」
「そしてここで敵軍を打ち破り」
「敵将をですな」
「討ち取れ、今の毛利家の主殿の後見人で」
 元就の立場のことも話した。
「実質的に毛利家を取り仕切っておる御仁だからな」
「その御仁を討ち取れば」
「毛利家は頭がなくなりますな」
「後は攻め放題」
「そうなるので」
「ここで何としても討ち取る」 
 こうも言うのだった。
「ただの弔い合戦ではないぞ」
「熊谷殿に対する」
「それだけではなくなったので」
「それで、ですな」
「我等はですな」
「敵の総大将もですな」
「討ち取るぞ」
 元繁は強い声で言ってだ、そしてだった。
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