第二百四十五話
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第二百四十五話 肌荒れ
梨花は家で母を見てふと言った。
「お母さんの手って」
「ええ、最近ガサガサになってるの」
母は娘の言葉にすぐに答えた。
「冬になるといつもそうなの」
「どうしてそうなるの?」
「日本の冬は空気が乾燥していてね」
母は娘にこのことから話した。
「それでお母さんいつも食器洗ってるでしょ」
「そのことも関係あるの」
「そうよ、食器の洗剤でね」
これのせいでというのだ。
「お肌が荒れるのよ」
「そうなのね」
「だからね」
「お母さんの手がガサガサになってるの」
「そうなの、だからね」
「だから?」
「寝る前は手にクリームを塗ってね」
そうしてとだ、母は娘にそのことも話した。その荒れている両手を擦り合わせつつそのうえで話す。
「手袋をして寝てるの」
「そんなことしてるの」
「さもないとね」
娘にこうも話した。
「手がアカギレになるから」
「アカギレって」
「そう、お肌が割れてそこから血が出るの」
「それ痛いわよね」
「痛いわよ、だからね」
「そうならない為になの」
「冬になると夜寝る前にね」
その時にというのだ。
「ちゃんとね」
「手にクリーム塗ってなの」
「手袋をして寝ているの」
「そうなのね」
「お顔にもそうしてるわ」
手だけでなくというのだ。
「クリーム塗ってるのよ」
「何でもクリームなのね」
「クリームじゃなくてお手入れよ」
「そうなの」
「クリームはお手入れに使うものの一つで」
それでというのだ。
「他にも何かとね」
「手入れしてるのね」
「冬は特にね」
こう娘に話す、やはり両手を擦り合わせながら。そしてこれが梨花が肌のことについて考える様になるはじまりとなった。
第二百四十五話 完
2020・3・12
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