疾走編
第二十七話 全てを知る者
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参謀殿、異常ありません。我々は外に控えておりますので、もし何かありましたら、このブザースイッチを押してください。直ぐ駆けつけます。では」
陸戦隊員はカイザーリング氏に聞こえるようにそう言うと、彼を一瞥して出て行った。
「ヤマト・ウィンチェスター大尉と申します。若輩ですがよろしくお願いします」
「カイザーリングだ。答えられる事には答えるし、答えたくない事には答えない、いいかね?」
「それでは閣下のお立場が悪くなりますが、よろしいですか」
「構わない。部下の命さえ助けてもらえるなら、私はどうなっても構わないのでね」
うーん…カイザーリング艦隊…。外伝ちゃんと読んでおけばよかったな。この人麻薬密売やってるようには見えないんだよな。悪役面をしていないというか…アニメだと悪役は分かりやすいんだよ。
「なぜ、この星系に?」
「戦争をしているのだ、君達は叛乱軍だろう、我々がその叛乱軍を討伐しようとするのは当たり前だろう?」
「確かにそうですね。ですがあなたは我々の二つの分艦隊を確認したにも関わらずこのヴァンフリートに向かっている。あなたの艦の戦闘記録を調べましたのでそれは判っている。なぜです?」
「確かに確認はした。だが千隻程度の艦隊が二つだ。その二つがお互い反対方向に急速反転、つまり逃げ出した。私はそれを擬態だと思った。こちらの艦隊に、逃げたどちらかを追わせる為ではないかと思ったのだ」
「それで」
「逃げた方向のどちらかに本隊が控えていて、我々がどちらかを追うと反対側に逃げた敵がまた反転して来て我々の後背を衝くのではないかと思った。二つの艦隊がそれぞれ別の所属の艦隊で、どちらにも本隊がいる可能性もあると考えた。ならばヴァンフリートには敵はいないだろうと踏んだのだ。ここは戦い辛いからな」
なるほど。考えはおかしくない。…そうだ、アルレスハイムで負けて、愚将って烙印を押されて少将に降格させられたんだ。そして退役…キルヒアイスが出会ったんだ。そしてこの人は全然愚か者ではないって印象を……そうだ、バーゼルが居た!
「そうですね。閣下の立場ならそう考えてもおかしくはない。しかし我々がいた」
「そうだ。だから我々は君達の撃破にかかった。嵌められたと思った。ティアマト方面とアルレスハイム方面にそれぞれ逃げた艦隊が我々の後背を衝く、君達と挟撃するつもりだと。ならばこちらは六千隻、前面の君達は二千隻だ。前進して君達を撃破、反転して二つの艦隊を撃破、充分勝算はあると思ったよ。君達全部合わせても四千隻だからな」
「そうですね。閣下の判断は正しい。ですが、閣下は艦隊を二つに分けられた。こちらから見ると、それは無秩序な二つの集団に見えました。ああも無秩序に前進しては勝てる戦いも勝てないと思うのです。最初の見通しは外れたが、こちらの策に嵌まった後も閣下は冷
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