第6話『影』
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でるようだ。
その立石先輩が、森の中を指差す。
「その、化け物って、あんな感じ?」
「そうそうあんな……え?」
立石先輩の指差した方向。 そこに“何か”がいた。
その“何か”は菜穂ちゃんの話に出てきたように醜く爛れた貌と鋭く尖った牙、長く垂れ下がった腕には一振りの刀を持っている。
「え、ちょ、嘘でしょ……?」
「パ、パパがお客さんを驚かせようと思って何か置いたんですかね……?」
作り物にしてはやけにリアルだ。 体表面はぬらぬらと生々しく光を反射する。
「……立石、天野。 立奈たちを連れて下がれ」
柳葉先生が鋭く低い声で指示を出した。 先輩たちが私と菜穂ちゃんを庇うように一歩踏み出す。
震える菜穂ちゃんを連れ後退ろうとする足が砂利を蹴った、その瞬間。
「……!!」
屍の鎧武者がぐりんと首をこちらに向ける。 紅く光る双眸と目が合った気がした。
「……、…………」
のろのろと、緩慢だが確かな足取りで鎧武者が私たちの方へと歩みを進める。
「き、あ……」
私の隣で菜穂ちゃんが掠れた声を出す。 無理もない、というか私も声が出ない。 むしろなんでこんな状況で立石先輩と先生達は冷静でいられるんだろう。 これが製鉄師になるってことなのか。
「っ……と」
少しずつ下がっていると背中が何かにぶつかる。
……いや、おかしい。 私たちの後ろには今歩いてきた道だけで、ぶつかるような物は何も無いはず……
緊張で喉がカラカラになる。 震える身体を無理やり動かして振り向くと
「ヒッ……」
そこには、もう一人の屍武者がいた。
「キャアアアアアアアアアァァァァ!!」
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