第6話『影』
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風呂行ったよ。 俺はキリのいい場所まで進めちゃいたいから留守番、草場はもう行く?」
「あー……いや、いいや。 残っとく。 っていうかなんで如月さんも残ってんの?」
「大勢で、お風呂とか……無理……」
「あ、そう……」
「てか残るんだったら宿題見てくれよ。 数学得意だろ」
「お前に比べれば誰でも得意に分類されると思うけどな」
やれやれと溜息を吐きながら輝橋の向かいの席に座る。 見てみると輝橋は輝橋で真面目に宿題を進めていたようで、応用系の問題以外はほとんど片付いていた。
「見てこれ。 足し算してたはずなのに答えマイナスになんの」
「んなわけ無いだろ馬鹿。 ここで移行間違ってんだよ」
「え? あ、ほんとだ」
普段から勉強をしない為成績は芳しくないが、輝橋は典型的な『やれば出来る』タイプだ。 わからないと言っていたり間違えたと言ったところも根本的な間違いは多くなく、小さなミスを見落としているだけのことが多い。
ところどころ口を挟みながら宿題を進めていると、ふと思い出したように輝橋が口を開く。
「そういやさー。 さっきギバちゃんせんせーとなんの話してたん?」
「大したことじゃない。 ちょっとした相談事だ」
「ふーん、ならいいけど。 なんかきな臭いんだよなー……」
「きな臭いって?」
「北の方の国さんがなんか騒がしいみたい?」
「北……ヴァンゼクスか……」
ヴァンゼクス????ヴァンゼクス超国家連合。 ユーラシア大陸の大半を占めるそれは、その名の通り六つの“超国家”によって構成されている。
去年の世界史でもある程度は習った。 確か構成超国家は行政の中心となる『ブザイ王国』を始め、『パルタケノイ』、『ストルカテス』、『アリザントイ』、『プディオイ』。 そして……
「……マギ、か?」
マギ傭兵国。 軍事の要、あるいは獅子身中の虫。 この国の神話的側面に明るくない人でも、名前くらいは聞いたことがあるだろう。 何せ少なくとも月に1度はニュースに出る名前だ。 それも、悪いニュースに。
“傭兵国”と名乗るだけあって、様々な国に対して製鉄師や魔女、魔鉄器を『兵器』として売り出している。 その製鉄師や魔女は人体実験の被験体にされているなどの黒い噂も絶えない。 日本で摘発される製鉄師による事件。 中でも海外から侵入した製鉄師の多くがこのマギ出身だと言われている。
故に、きな臭いと言われて真っ先に思い浮かべたのだが、輝橋はケラケラと笑って否定する。
「マギがきな臭いのはいつものことだろー? テロの裏には『またマギか』ってな。 プディオイの方だよ」
「プディオイ……? あそこはどちからというと平和なイメージだったが……」
「ま、結構遠くの話だし、関係ないとは思うけどー?」
宿題が一段
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