第百五十五話 アテネとの戦いその六
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「あんたはアテネを降したのよ」
「そうしたんだな」
「言うでしょ、人を攻めることこそね」
「最善だってな、つまり俺はアテネの連中の心を攻めたんだな」
「そうよ、攻めるというか」
「感じ入らせたか」
「それでアテネを引き込んだのよ」
そうしたというのだ。
「見事ね」
「成程な」
「それでアテネはこれから」
「ああ、コレラの治療は続けてな」
そしてとだ、久志は話した。
「街もな」
「大きくして」
「下水道とかのこともな」
「整えていくわね」
「他の街と同じでな、街ってのはな」
「下水道も整えないと」
「本当に疫病になりやすいからな」
「おトイレがあっても」
「出たのを何とかしないとな」
つまり排泄物をというのだ。
「駄目だからな」
「こっちの世界ではね」
留奈はここでは困った顔になった、そのうえで話した。
「どうもね」
「ああ、汲み取りとかな」
「ないわね」
「それを肥料にするってこともな」
「発想自体がなくて」
「それで出したらな」
「それっきりね」
「最悪家にトイレがなくてな」
本来ある筈のそれがというのだ。
「それでな」
「壺に出してね」
「それで窓から道の端に捨てるからな」
「これがどれだけ駄目か」
「言うまでもないからな」
「だから下水道も整えるのね」
「トイレも用意させてな」
そうしてというのだ。
「ちゃんとするんだよ」
「そうしないとそこから疫病が流行るから」
「コレラにしてもな、コレラもやばいけれどな」
ここでだ、久志は留奈にさらに話した。その話はかなり真剣なもので留奈も話を聞いている他の面々も真剣である。
「特にな」
「ペストね」
「この病気が出たらな」
それこそとだ、久志は苦い顔で話した。
「今回以上にとんでもないことになるからな」
「あの病気程恐ろしい病気はないな」
芳直もこう言った、アテネからここまで来ているのだ。
「そうそうな」
「そうだよな」
「梅毒や結核も怖いが」
「こっちの世界は何とかな」
「こういった病気の薬はある」
「梅毒の感染源もはっきりしていて」
「対処は楽だよ、しかしな」
ここで久志はまた言った。
「ペストは感染源がわかっていてもな」
「一旦発生すると大惨事だ」
「それになるからな」
「まずはだ」
「出さないことだよな」
「だからだ、街を奇麗にしてだ」
排泄物やゴミの問題を解決してというのだ。
「下水道まで整備することはな」
「いいよな」
「金はかかるが」
このことは事実だが、というのだ。
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