第二章
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「ここはな」
「お兄さん時間あるの?」
「ジムに行くだけだからな」
実際にそうだった、だから多少遅れても問題ないと思ってだった。
彼は男の子と共に犬を動物病院に連れて行った、犬は何も問題はなかった。だがここで俊に対してだった。
男の子はこう言ってきた。
「あの、お礼は」
「そんなのいいさ」
「そう言う訳にいかないから」
だからだと言うのだった。
「連絡先教えてくれるかな」
「それでか」
「後でお礼に行くから」
「本当にいいけれどな」
「お礼はしろってお父さんとお母さん、お姉ちゃんに言われてるから」
「それでか」
「それは忘れるなって」
その様にというのだ。
「だからね」
「そうか、そこまで言うならな」
「うん、じゃあね」
「携帯の番号とメアド交換するか、ラインの方もな」
こう話してだった。それでだった。
この時は終わった、尚この時ポチの性別も動物病院でわかった。雄だった。
数日後男の子、吉川賢章から連絡があって会うことになった、そこでお礼をするとも書かれてあった。
それで八条グループのファミレスで待ち合わせをすると。
賢章の横に大人の女性がいた茶色の髪を奇麗に短く切り揃えた楚々とした顔立ちで背は一五五程だ。スタイルは普通といったところか。ピインクが基調のブラウスとセーターそしてロングスカートという格好だ。
その女性が俊に頭を下げて言ってきた。
「この度はポチを助けてくれて有り難うございます」
「貴女は」
「賢章の姉の吉能です」
女性は笑顔で名乗った。
「携帯ショップで働いています」
「そうですか」
「はい、それでこの度は」
「あの子のことで、ですか」
「お礼を申し上げたくて」
それでというのだ。
「弟と一緒に来ました。両親は申し訳ないですが」
「お父さんとお母さんは忙しくて」
男の子、賢章が申し訳なさそうに言ってきた。
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