第三章
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「それでね」
「明るさを戻してきたのね」
「そうなってるわ、ひかりに感謝しないとね」
「そうよね」
「多分ね」
美奈は暖奈にさらに言った、夕食だが今食べているのは彼女が作った暖奈が好きなスパゲティカルボナーラだ、彼女がさらに元気になる様にあえて好物を出したのだ。これは両親の死以降続けている彼女の妹への優しさだ。
「ひかりはお父さんとお母さんが連れて来てくれたのよ」
「私達のところに」
「暖奈のところにね」
妹にあえてこう言った。
「そうしてくれたのよ」
「そうなの」
「そう思うわ。暖奈が物凄く悲しい気持ちになっているから」
自分達の死でそうなっているからだというのだ。
「それを見てね」
「ひかりを連れて来てくれたの」
「それで暖奈はね」
「ひかりと一緒にいるうちになのね」
「明るさを取り戻していったのよ。私じゃ無理だったけれど」
それでもとだ、美奈は寂しい笑みを浮かべてこうも言った。
「ひかりがそうしてくれたの」
「いえ、私一人だったら」
姉がいなければとだ、暖奈はその姉に話した。寂しい笑みになった彼女に。
「もう完全に押し潰されていたから」
「だからなの」
「お姉ちゃんもいてくれて」
それでというのだ。
「何とかいられたから」
「そうなの」
「ひかりは何か見て付けた名前だけれど光で」
それでというのだ。
「お姉ちゃんは温もりなのよ、私にとって」
「温もりと光なの」
「その二つがあったから」
だからだというのだ。
「私は今こうしていられるの」
「そうなのね」
「だからこれからもね」
暖奈は姉に微笑んで話した。
「宜しくね、そして私もね」
「私やひかりに何かあったら」
「希望や光になれる様になるから」
「今度は貴女がなの」
「そうなるから。元気になって」
以前の様にというのだ。
「そうなるから」
「じゃあこれからも」
「ええ、宜しくね」
二人でこう話してだ、そしてだった。
暖奈のところにひかりが来た、そしてだった。
テーブルの上に跳んで上がってきて食事を摂っている暖奈の傍に来て優しい声で鳴いた。
「ニャア」
「聞いてたの?今のお話」
「ナ〜〜〜オ」
鳴き声で応えた、暖奈には何と言ってるかわからない。だが。
暖奈はひかりの気持ちが伝わったと思った、これからも宜しくと。そして元気を出していこうと。それで暖奈は微笑んで言った。
「わかったわ、明日は今日よりもね」
「ニャンニャン」
ひかりは笑顔で応えた、そして今度の鳴き声はそうしていこうという意味に思った、それで暖奈も笑顔で彼に応えた。そうしていくと。
希望の光 完
2020・5・24
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