暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第33話:後始末のイリュージョン
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相手に、よく頑張ったよ。こいつはお祝いだ」
「あ……ど、どうも」

 颯人から花束を受け取る響だが、その顔色は優れない。まだショックが大きいようだ。

 こんな反応は当然颯人の想定内。彼は響の表情を見て、颯人は余裕を崩さず花束にハンカチを掛けた。

「花束じゃ不満かい? それなら……これでどうかな!」

 そう言って颯人が被せたハンカチを取り払った、そこにあったのはクリームに色とりどりのフルーツが黄色い生地で包まれたクレープだった。

 思わぬ物の登場に、響は勿論奏も面食らう。

「わっ!?」
「何時用意した!?」
「企業秘密。ま、難しい事は考えずに、これでも食って英気養いな」
「でも……」

 やはりまだ食べる気になれない。それを見て取って、奏は少し乱暴に響の頭を撫でた。

「わわっ!?」
「颯人も言ったけど、難しい事は考えるなって! アタシや翼が戦った後もこんな風になった事はある」

 例えば、放った大技が放置された車のガソリンを引火させたりなどした時だ。あの時は奏がまだ荒れていた頃だったので、周囲の被害など二の次だったのである。
 当然やらかした後は弦十郎に派手に叱られ、説教されたものだ。

「それに比べりゃ、今回のは可愛いもんさ」
「それにもしまたこんな事になりそうになったら、俺らが何度でも止めてやるよ。響ちゃんは1人じゃないんだ。もし不安になったら、いつでも手を伸ばしな。奏がいつでもその手を取ってくれるからよ」
「颯人も取ってやれ!」
「響ちゃんは奏の妹分だろ? だったら奏が面倒を見てやれよ」
「面倒臭がり!? 薄情者!? ズボラ!?」
「そこまで言うか!?」

 自分を挟んで何時もの口喧嘩を始める颯人と奏に、響はクスリと笑みを浮かべると手の中のクレープを一口齧った。

 一度食べると、それに空腹が刺激されたのか次々と食べ進めていく。
 その様子に颯人と奏はじゃれ合いを止め、互いに笑みを浮かべ合い響の後ろでハイタッチを交わすのだった。
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