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戦闘携帯のラストリゾート
怪盗乱麻のサイドチェンジ
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サフィールの声は、キュービの隣から。
 金髪のウィッグと顔や体を隠す雨合羽のフードを外し、茶髪の少年がチュニンの目の前に。肩から血を流して息を荒げたまま、カードゲームのチャンピオンは己の武器を抜き出す。
 呼び出されたサーナイトがチュニンとわたしを大きなドアを越えてテレポートさせた。

「時間稼ぎのつもりですか! 姉様、今行きます!」
「怪盗は狙った宝を決して逃さない。さあ──怪盗乱麻の戦闘携帯を始めましょう! スターミー、扉を塞いで!!」

 わたしの声は、チュニンの下から。茶髪のウィッグとホウエンの学生服を脱ぎ捨て、怪盗乱麻としての衣装に戻る。頭に付けた小さくなったスターミーが、念力でドアを固定する。
 チュニンが裂帛の気合いを込めて拳をたたき込むが、ただでさえ重たくて大きなドアを念力で固定されたら人の拳で突破するのは無理だ。
 その隙にわたしは立ち上がり、さらにシルヴァディを出して不意打ちに備える。

「あなたという人は……! 最初からグルだったのですか!」

 そう。彼に捕まえてと頼んだ時、同時に入れ替わりを計画した。
 クルルクがわたしに変装していたときの道具を借りて、サフィールを怪盗乱麻に。そしてわたしは自前の変装道具でサフィールの姿と声を模す。
 完全に男の子になりきるのは少し苦労したとはいえ……彼も協力してくれたからバレないように演技が出来た。チュニンにこっちを向かないよう指示したのも半分はそのためだ。
 だけど、今わたしが怪盗乱麻として言うべきこと、やるべきことは別にある。

「ええそうよ、怪盗乱麻が宝を盗むためには、彼の協力が必要だった」
「馬鹿なことを! 余計なことをしなくても、キュービが……はっ!?」

 わたしが人差し指を唇にあて、周りに目配せするとチュニンも周囲の状況に気づく。わたしたちの周りには、たくさんの野次馬が集まっている。そんなところで八百長計画は話せない。
 人が集まっている理由は簡単だ。さっきまでチュニンと一緒にリゾートの大通りを歩いてきた。お客さん達は当然、わたしたちを追ってくる。
 この計画のおかげで、今リゾートの注目は全てわたしのいる場所、キュービの部屋の前に集まっている。

「わたしは考えたの。今回の宝『緋蒼の石』はどこにあるのかって。盗まれないよう地下深く? そんなわけないわよね」

 チュニンはわたしと初めて会ったとき、地下の金庫にしまってあると言っていた。
 だけどキュービは宝を盗まれたくないわけじゃない。むしろ派手に盗ませたいんだ。地下深くでは目立たない。

「……何を言うかと思えば。さっきキュービが首元に宝石をかけているのを見たでしょう!」
「それこそあり得ないわ。あの人は本来人前に出る役目じゃない。荒事だって向いてない。そんな人に宝を持た
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