第81話『エンジョイ』
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
時刻は午前9時、場所は海辺。先生たちに整列させられた晴登たちは、林間学校のガイダンスや注意事項を聞いていた。
といっても、概要はみんな事前に知っているので、確認程度のものだったが。
「それでは皆さん、怪我や事故には気をつけて楽しんでください」
「「「はーい!」」」
山本がそう言うや否や、生徒たちは一目散に海へと向かう。
そう、いよいよ海遊びの時間だ。バスから海が見えて早10分。とある旅館にて水着に着替えた生徒たちは、水を得た魚の様に生き生きとして、続々と海へ駆けて行った。
自由参加とは言われていたが、これはほぼ全員が参加しているのではないか? そう思わせるほどに人が多い。
だがそんな中、一般人の姿は無い。そう、本日この海は日城中学校の貸切なのだ。実に太っ腹である。
ちなみに"とある旅館"とは、教師用の旅館のことである。生徒たちは当然、山の中でキャンプだ。どっちがいいかと言われたら、正直迷ってしまう。
「まぁそんなことより、ん〜潮風が気持ちいい〜!」
海特有の清々しい風に吹かれながら、晴登は感動を噛みしめる。海に来て、この砂浜の熱さと太陽の眩しさを感じるのは何年ぶりだろう。もう思い出せないくらい昔のことだから、今日がとても楽しみだった。
「何しようか、三浦君?」
「そうだな〜。やりたいこと多くて逆に困っちゃうな」
毎度恒例、パーカー付きのラッシュガードを着て隣に立つ狐太郎が晴登に訊いた。
ふむ、確かに海で遊ぶのはいいが、どうやって遊ぶかまでは考えていなかった。メジャーなのだと、海水浴とかビーチバレーとか…かな?
「それよりもまず、準備運動だろ?」
「あ、大地。って、そりゃそうか。海の中で足つったりしたら大変だもんな」
「そうそう」
晴登の隣に立ち、準備運動を始める大地。それに倣って晴登と狐太郎も身体を動かす。
それにしても、大地の運動部ゆえのそのがっしりとした身体つきは、男として羨ましく思う。やっぱりこれくらいは無いとなぁ…。
「何だ晴登、俺の身体をジロジロ見て」
「いや、何でもない! ただ、凄い筋肉だなって」
「そりゃ鍛えてるからな。毎日筋トレしてるんだぜ?」
「へぇ〜」
毎日筋トレするとそんな筋肉が付くのか。…試してみるか。
「・・・うっし、準備運動終わり! それじゃあ行くぜぇっ!!」
「あ、大地!・・・って、行っちゃった」
準備運動が終わるや否や、大地は猛スピードで海に向かって駆け出し、人混みに紛れて行った。せっかちと言うか何と言うか。
置いてけぼりの晴登と狐太郎は顔を見合わせ、クスッと笑みをこぼす。
「じゃあ、今度こそ何しようか」
「ん〜遊ぶならも
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ