第81話『エンジョイ』
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伸太郎が魔術による目くらましを放ったのを、晴登は見逃さなかった。自分も魔術を使っていた以上、ずるいと言える立場ではないのだが。
しかし、これはマズい。初見であの目くらましを避けることは正直不可能だ。次の瞬間には、伸太郎が狐太郎を捕らえてしまって──
「あれ?」
そんなマヌケな声を出したのは伸太郎だ。それもそのはず、光が消えると彼の目の前から狐太郎が姿形もなく消え去っていたからだ。
まさか本当に消した訳ではあるまいし、かといって周りの人々に紛れようにも、ここら一帯にそんなに人はいないから不可能である。なら、一体どこに・・・
「──よっと」
「うわ、びっくりした!」
「な、いつの間に…!?」
晴登が思考を始めた刹那、上から人影が眼前に降ってきた。そう、狐太郎だ。
──まさか、伸太郎ごとジャンプして避けたとは。それに目くらましも防ぐなんて、なんて運動神経と反射神経だ。恐れ入った。
「はい、2人とも逃げて」
「う、うん、ありがとう柊君!」
「ありがとうございます!」
狐太郎からタッチされて助けられた晴登と優菜は、すぐさま牢屋を離れる。振り返ると、膝を折って地面に座り込んでいる伸太郎の姿が見えた。仕方ない、今回は相手が悪かったようだ。
*
「へぇ〜柊君にそんな運動神経が。そりゃぜひとも競ってみたいな」
「え、遠慮しておきます…」
結局、ケイドロはドロの勝ちで終わり、今は次の遊びを考案中だ。あと狐太郎の予想以上の運動神経に、大地が食いついている。いや、確かに人を飛び越えるほどのジャンプ力はヤバいと思うけど。
「次はビーチバレーなんてどう? ここに丁度いいボールがあるけど」
「何で丁度いいボールが突然出てくるのか気になるけど…まぁいいか。楽しそうだな、やろう!」
莉奈の提案に晴登含む全員が賛成した。しかし、やるにはネットが必要だろう。それはどうしようか…。
「見て、あそこに丁度いいコートがあるよ」
「いや丁度良すぎだろ! ご都合展開か!」
「まぁそういう時もあるだろ」
「えぇ…」
あまりの偶然にツッコんでしまったが、大地に軽く一蹴されてしまう。海にビーチバレーコートがあるなんて予想もしてなかった。
もうこの際、遊べるなら何でもいいや。
*
場所はビーチバレーコート。そこでは砂浜の上にネットが設置され、ラインも引かれている。ここ以外にも近くに2つのコートがあるが、それらは既に人に使われているようだった。
新たにチーム分けを済ませ、いよいよゲームスタートだ。
「それじゃ行くよ、結月、暁君、柊君!」
「「おー!」」
こちらのチーム
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