暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第81話『エンジョイ』
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うお、見てなかった!」


だが結月を出し抜いて喜んでいたのも束の間、その後ろから来ていた大地にあっさり捕まってしまう。全く、2対1なんて卑怯じゃないか。





「お疲れ様です、三浦君」

「あ、戸部さんも捕まってたんだ。いやぁ、いくらこの人の壁があっても、やっぱりあの2人には敵わないや」

「そうですね。お二人とも、とても足が速くて」


牢屋代わりのビーチパラソルの中に入りながら、晴登はやれやれと首を振った。
優菜の言う通り、大地と結月の足の速さには目を見張るものがある。恐らく、学校で一二を争うレベルだ。そんな警察から泥棒が逃げ切れる訳がない。


「これじゃ、暁君の出番は無さそうだね」

「そうだな。その方が俺はありがたいけど」


退屈になった晴登は、同じくパラソルの下で座っている伸太郎に話しかける。
彼は他の2人とは真逆で、運動の鈍さは筋金入りだ。人を追いかけるくらいなら、待っている方が断然いい。この調子だと、牢屋に助けに来る人が現れそうもないが。


「残りは莉奈と柊君・・・まだ可能性はあるか…?」


しかし、残るドロ2人もまた運動神経は良い。もしかしたらケイ2人を突破して、助けに来てくれるかもしれない。
牢屋は360度開放している。ドロ2人が同時に前後から来れば、伸太郎1人を出し抜くことは可能だろう。


「まぁ、それを2人がわかってればって話だけど──」

「三浦君、あそこ見てください」

「え、あそこ?・・・って、莉奈が追われてるのか…」


何ということだ。優菜に示された方向を見ると、莉奈が大地と結月に追われているのが見えた。
となると当然、先の作戦は実行できなくなってしまう。さすがに莉奈でもあのケイから逃げ切れるとは思えないし、これはもう無理か──


「っ! 来たか!」

「あ、柊君!」

「助けに来たよ! 三浦君!」


伸太郎の反応で、晴登はこちらに向かってくる狐太郎の存在に気づく。
いや、というか伸太郎はよく気づいたな。死角に近い方角だと思うのだが。伊達に見張りはやってないということか。


「あんたを捕まえれば俺らの勝ちだ」

「……っ」


伸太郎の言う通り、莉奈が大地と結月に追われている以上、こちらの加勢は望めない。つまり、ここで狐太郎を捕まえればケイの勝ちはほぼ確定する。


「どっからでも来やがれ…!」

「くっ…!」


こうなれば、始まるのは当然伸太郎と狐太郎のタイマン。自信があるのか、伸太郎は笑みを浮かべている。そりゃ守る方が楽ではあるし。


「はぁぁ!」

「へっ、喰らえっ!」

「あ、ずる!?」


狐太郎が意を決して飛びこんで来たその瞬間、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ