第81話『エンジョイ』
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う少し人を集めたいかな」
「呼んだ?」
「お、莉奈、ちょうどいいとこ…にっ!?」
晴登が莉奈の声に反応して振り返ると、そこには莉奈だけではなく、結月もいた。当然、彼女たちも水着姿である。
「この水着、どうかなハルト? 2回目だけど」
「う、うん、凄く似合ってるよ…」
青い水着を揺らす結月から視線をゆっくりとそらしながら、晴登は率直な答えを返す。いくら見るのが2回目とはいえ、やはり直視できない。可愛すぎる。
「もう晴登ったら、ちゃんと結月ちゃんを見てあげなよ」
「いや、でも…!」
「はぁ、これだからコミュ障は。柊君はどう思う?」
「え!? あ、お二人とも、とても素敵です…!」
「おっと私も? 照れますなぁ〜」
恥ずかしがりながらの狐太郎の言葉に莉奈は上機嫌だ。
ちなみに莉奈の水着は当然競泳水着ではなく、赤色のビキニである。水泳部ゆえの日焼け跡がよく目立つが、本人は気にしていないようだ。
「と、とりあえず、もう少し人数を集めたいかな! 大地は後で連れて来るとして──あ」
「…!」
その時、晴登はある人物と目が合った。その人物は水着の上からジャージを羽織り、海辺から離れた木陰の下で休んでいる──そう、まだ海遊びは始まったばかりなのに休んでいるのだ。
「おーい暁君〜!」
「……」
「あ、目そらされた」
無愛想な態度をとるジャージ姿の男子──伸太郎は、晴登から目をそらした後、懐から本を取り出して読み始めた。あくまでこちらに来るつもりはないらしい。
「まぁ俺が無理やり誘った訳でもあるしなぁ…」
プールに引きずり込みながら、必死に林間学校に来るよう懇願したのを思い出す。良かれと思ってやったが、さすがにやりすぎたかもしれない。
「しょうがない。なら暁君はダメとして──」
「その割には、こっちをチラチラ見てるみたいだけどね」
「え?」
晴登がその莉奈の言葉に振り返ると、伸太郎がさっと目をそらしたのが見えた。つまり、今こっちを見ていたということになる。
「・・・なら、直接言ってくる」
「はーい」
晴登はそう言い残し、伸太郎のいる木陰まで走る。
彼はそれをちらりと見て再び目をそらすが、さすがにバレバレだ。全く、仲間に入れて欲しければそう言えばいいのに。
*
「という訳で、暁君も呼びました」
「う、うっす…」
晴登が集まったメンツにそう説明し、伸太郎が俯きながら挨拶した。
「え、えっと…柊 狐太郎、です…」
「あ、その、暁 伸太郎っす…」
特に初絡みで人見知りな2人は、ぎこちない自己紹介を
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