アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第二十九話 剣の頂に立つ者vs冥界を統べる王
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「君ならわかるはずだよ。剣で語る、ということが」
「・・・・・・」
オシリスの言葉にソレイユは無言を貫くが、オシリスは言葉を続けていく。
「きみはおれが、おれたちが憎いとは思わないのか?自分勝手な理由でこんなことになり、きみたちの時間を奪っている。きみたちの命をもてあそんだに等しい。なのにきみは怒りも憎しみも抱いていない。なぜだ?」
「・・・・・ハァ。そんなことか」
「そんなこと?」
呆れを含むソレイユの言い草に眉をひそめるオシリス。ソレイユは一瞬だけ力を込めて、鍔迫り合っていた刃を弾く。弾かれた力に逆らわず、後退するオシリス。少しばかり距離が開いたところで、ソレイユはオシリスの質問にどうでもいいというような感じで答えていく。
「ああ。ぶっちゃけた話、そんなことはどうだっていい。死にたくないのなら剣を持たなければよかったんだ。剣を持った奴はその時点で死と隣合わせだ。それで死んだ奴は実力がなかっただけ。それだけだ」
「ずいぶんドライな考え方をするな。じゃあ、きみはおれたちには何も感じていない、と?」
「・・・いや、感謝してる」
「感謝?」
意外な言葉が出てきたため驚くオシリス。そんなオシリスを見たソレイユは人を食ったような笑みを浮かべている。
「ここに来なければおれはルナと出会うことはできなかった。笑い合うことも、幸せを感じることも、愛することさえもできなかった。ルナだけじゃない。シリウスともベガともキリトやアスナ、エギルやクラインたちとも出会うことはできなかった。だから、感謝してる。ここに来たことで、おれはかけがえのないものを手に入れられた」
「・・・・・・・」
呆然となるオシリス。それもそうだろう。憎しみを抱かれたり、罵られてもおかしくないことをしているのに、そういったものとは無縁の言葉を言われたのだ。予想外もいいところである。
「オシリス、高嶺恭介。おれはお前に刃を向ける。だがそれは、決して憎しみや怒りを抱いているからではない」
「・・・・・なら、何を持ってきみはおれの前に立ちはだかる。他にとらわれている人達のためか?」
「そんな正義感はおれにはねぇよ」
「では、なぜ?」
おれはヒーローでも英雄でもない、と苦笑いしながら言い張るソレイユに疑問を禁じ得ないオシリスは問い掛けた。そんなオシリスにソレイユは至極当然といった感じに答えていく。
「“わたし”の剣に善も悪も存在しない。ただ、“わたし”が貫き通す信念のために振るうのみ―――」
純粋な言葉がソレイユの口から漏れる。
「―――それが“わたし”の剣の在り方」
刀の切っ先をオシリスに突き付けながらソレイユはなおも言葉を紡ぐ。
「善も悪も関係なく。ただ、“わたし”
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