アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第二十九話 剣の頂に立つ者vs冥界を統べる王
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だな」
言い終えるのと同時 に再び沈黙が訪れる。心地よい風がオシリスとソレイユの頬を撫でていくなか、急にオシリスとソレイユの周りで戯れていた動物たちが森へと消えていく。まるで何かにおびえるように。
その原因は、ソレイユだった。アポカリプスと戦った時のような闘気を放っていたが、オシリスはそれを受けても平然と言った。
「もう少しゆっくりしていてもいい気がするんだが?」
「・・・そうしたいのはやまやまなんだがな。さっさとルナのもとへ帰ってやんないといけないんだよ。あんまり遅くなると、寂しくて死んじゃうらしい」
「・・・・・案外、可愛いとこあるんだな、あの娘」
面倒を見ていた娘の意外な一面を知って驚くオシリ ス。それにソレイユは苦笑いしかできなかった。出会った当初は、文武両道でしっかりとした女の子というイメージがあったが、恋人として付き合っていくにつれ、寂しがり屋なあまえんぼうだということが分かった。それでも、以前と変わらず公私はしっかりと分けているので、その姿を知っているのはソレイユのみとなっている。
「・・・・・だから、ルナに死んでもらっては困るのでさっさと帰んないといけないんだよ」
「・・・・・そうか。ちなみに聞くが、あの娘はこのことは?」
「知らないよ」
「・・・・・そうか」
立ち上がりながらウインドウを操作して大剣を装備するオシリス。ソレイユは大樹から少し 離れたところで刀は抜かずに長刀を抜き、目を瞑り悠然と構えをとる。今までを見てもあまり構えたことのないソレイユだが、今回だけは違った。本気だ、ということが雰囲気を見ただけでわかる。そんなソレイユに向かい合うとオシリスは大剣を構える。こちらもさっきまでの雰囲気とはまるで違った。
風が頬を撫でる中、気を張り詰め相手の出方をうかがうソレイユとオシリス。刻一刻と時間が過ぎていくが、二人は全く動かない。
少し強めの風がソレイユとオシリスの頬撫でた。
「っ!?」
仕掛けていったのは―――――ソレイユだった。
一瞬でオシリスとの間合いを詰め、袈裟斬りを放つがオシリスはそれを大剣で受け流し、カウンタ ーを仕掛けていく。だが、いまさらそんなカウンターを喰らうソレイユではない。放たれたカウンターをあっさり躱し、再び斬りかかっていく。袈裟斬りからの右切上げ、そこからの唐竹割りを繰り出していくが、その悉くをオシリスは防いでいく。舞い踊る長刀と大剣。奏でるは金属同士の甲高い衝突音。幾度となく繰り返し打ち合うその姿は、まるで演舞をしているか、と言いたくなるようなPvPであった。このゲーム内において最高峰に高められた実力者同士の均衡した闘いが行われていた。しかし、その均衡は簡単に崩れ去り、新たな演舞を披露していく。
「埒が明かないな・・・」
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