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曇天に哭く修羅
第二部
事の顛末
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待っていたのである。

かつては良心が働いて関係の無い人間を巻き添えにすることを避けたが今回は一切の考慮をせず本気で決着を狙っていた。

そしてその結果イリアスは首都ロンドンと共に古代旧神を完全消滅させることに成功する。

当時ロンドンに居た住人に加えて合計1000万人以上存在していた首都圏を塵の一つも残さず黒い虚空に呑み込み彼方の亡囚とした。

ネバーエンドの領地と同様に底すら見えぬ深底遠望の暗がりが広がる奈落と化した大地に世界は震撼し、真実を知るイギリスの上層部はイリアスと彼の周囲に居る人間に対して手を出さない誓約を結ぶ。

これによって何とかイリアスの怒りを鎮めてもらったが、古代旧神を失ったイギリスの社会的地位や影響力が極端に落ちることは避けられないのでこの先は凋落の一途を辿るのみだろう。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「面の皮が厚いイギリス(あちらさん)も相当に懲りたみたいだからね。古代旧神の加護を失ってもやっていけてる日本と違ってこれからは外交で相当に苦労することになるよ」


向子にとっては想定していた以上に素晴らしい結果になったので今後は海外勢を相手取っても動き易くなるだろう。

最優先にしていた《立華紫闇(たちばなしあん)》の成長も達成できているのでこれ以上を望むべくもない。


「さあーて。後は江神(こうがみ)君と翔君のどっちが勝ったのかを聞いたらこの一件は片が付くねぇ。またプランを練らなくちゃいけないけど」


そう、紫闇はまだ完成していない。

早く及第点に達する実力を身に付けてもらわなければならないのだ。


「んーにしても、レイア君から報告を受けた時はあたしも驚いたよ。一体どれ程の存在が宿ってるんだか」


神が参る者(イレギュラーワン)】である紫闇は古代旧神や【旧支配者/オールドワン】といった[上位存在]と融合し、互いの力を高め合っている稀有な人間だ。

彼は《永遠(とわ)レイア》によって『改造』を施され、【魔術師】の武器であり『魂』そのものの【魔晄外装(まこうがいそう)】を強化されている。

レイアはその改造をしている時に紫闇と混ざっている上位存在を感じ取った。

その強大さを。


弥以覇(やいば)さんが言った上位存在は神が参る者に一段劣るという内容は間違っていないのかもしれないが、これはあまりにも───)


神が参る者が有している力は融合した上位存在に寄るのだが、レイアですら二の句を継げぬ程に巫山戯(ふざけ)たそれ。

間違いなく紫闇の憧れ大英雄《朱衝義人/あかつきよしと》と彼を含む世界最強の魔術師だった七人【マジェスティック】の内6人を道連れにした《ナイアー=ラトテップ》を上回っている。

【邪神大戦
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