第164話
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は胸の辺りを押さえて化粧室へと走っていく。
「何やってんだか。」
「ふ、不幸だ。
言われたとおりにしているだけなのに。」
麻生はそのやり取りを見て、呆れたような口調でいい、上条は泣きそうな声で呟いた。
それでも数々の不幸な出来事に巻き込まれてきた上条だ。
お腹を押さえながらも、弁当を再び食べ始める。
麻生は窓の外を見つめている。
昼休みの生徒達の過ごし方は様々だ。
食後にいらなくなったプリントを丸めてキャッチボールをするやつもいれば、ご飯を食べながら携帯電話のテレビ機能を使ってバラエティ番組をチェックしているやつもいる。
しかし、ここ最近の話はあることに共通していた。
「戦争って本当に始めるのかよ。」
生徒の何気ない言葉。
その言葉を聞いて上条は口に運んでいた箸を止め、麻生は窓から教室内に視線を移す。
「恭介、戦争って始まるのか?」
小さい声で麻生に話しかける。
「ヴェントを倒したんだろ。
神の右席である一人を倒したんだ。
相手は本腰を入れてくるだろうな。」
「・・・・・・」
「まさか、ヴェントを倒したのを後悔しているとか、思っていないだろうな。」
「そんな事は思っていない。
ただ、戦争にならないようにもっと方法があったんじゃないんかなって。」
「それはお前が考える事じゃない。
それらは土御門たちのような奴の仕事だ。
お前は自分のするべきことをしたんだ。」
「もしかして、慰めてくれている?」
「・・・・・・・」
麻生は完全に視線を逸らして、無視する。
それを見て少しだけ嬉しくなったのか、弁当を食べ始める。
教室内では中間テストが無くなるかもしれない、という噂を聞いて喜んでいたり。
一端覧祭に影響が出ないのか、心配の声も上がっている。
世間では戦争やらなんやら、と噂されているがそれが具体的に自分達の身に降り注ぐ、という所までは想像が働かない。
あんな血みどろな戦いを緻密に想像できるような環境になってしまえば、もう終わりだ。
「そうならないようにしないとな。」
「頑張れよ。」
思わず口に漏れた発言に麻生が言う。
「手伝ってくれないのかよ。」
「俺は俺の為に戦う。
その戦争が俺の為の戦いになったのなら、手伝ってやるよ。」
上から目線の発言だが、上条は不快に思わなかった。
「戦争が始まると、野菜や肉が高騰するんだよな。
もっと節約をしていかないと。」
購買でパンを買った運動部が教室に戻ってくる。
彼らの話も今話題の戦争についての話だった。
彼らの高騰の話の聞いた上条は。
「クローン食肉とか野菜の人工栽培とかやっているから大丈夫じゃねぇ?」
「それだけでは、学園
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