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戦国異伝供書
第八十八話 初陣その七

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「勝つぞ」
「そうされますか」
「この度は」
「ここは」
「左様、よいな」
「それでは」
 ここでまた志道が言ってきた。
「敵のことをですな」
「これから戦うがな」
「よく調べてですか」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「戦う、斥候を多く出すだけではない」
「それに終わらない」
「と、いいますと」
「あの者達を出しますか」
「うむ、忍の者達もな」
 その彼等もというのだ。
「よいな」
「そうされてですか」
「武田の軍勢のことをしかとわかり」
「そのうえで、ですか」
「敵を攻めますか」
「左様、籠城なぞせぬしな」 
 猿渡城、そこにというのだ。
「有田城に入ることもせぬ」
「有田城を攻め落とされる前に攻めて」
「そして勝つ」
「そうされるのですな」
「敵はそうは思っておらぬ」
 毛利家の軍勢が攻めることはというのだ。
「そうであるな」
「とても、ですな」
「その考えはないですな」
「武田家の軍勢は大軍」
「有田城では持ち堪えられませぬ」
「ですから敢えて有田城を捨て石にして猿渡城での籠城戦で決する」
「そう考えておるが」
 武田家の軍勢はというのだ。
「その虚も衝く」
「では、ですな」
「これよりですな」
「一気に進みますな」
「敵のことを調べつつ」
「そうする、敵と正面から戦うよりもな」
 それよりもとだ、元就は家臣達に話した。
「その数や動き、考えを調べしかとわかり」
「そして、ですな」
「そこからですな」
「その虚を衝く」
「それが戦のあり方ですな」
「それを使う、だから今から攻めるぞ」
 こう言ってだ、そしてだった。
 元就は斥候を多く出すだけでなく忍の者達も使い武田家の軍勢のことを調べさせた、そうしつう軍勢を有田城の方に急行させた。そうして。
 今有田城を囲んでいる武田家の軍勢の近くまで来た、元就はここで兵達を見てそうして笑みを浮かべて言った。
「皆ついて来ておるな」
「この通りです」
「皆おります」
「速い進みでしたが」
「ついて来れなかった者はおりませぬ」
「そうであるな、進むのは速くさせるが」
 しかしというのだ。
「飯はしっかり食わせて寝る時は寝かせる」
「そうしていましたな」
「水も多く飲ませ」
「そうしていましたな」
「ここまで来る間は」
「速く進めば疲れる」 
 こうなることもだ、元就はわかっていた。それで言うのだ。
「だからそうした時は休む時はな」
「しかと休む」
「そして飯も水もですな」
「しっかりと摂らせるのですな」
「そうじゃ、疲れをしっかりと取らせ」
 そしてというのだ。
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