アインクラッド編〜頂に立つ存在〜
第二十七話 全てを穿つ必殺を持つ狼の槍
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である(所謂、ポケッターリでモンスターリなゲームのドラゴンの怒りである)。
しかし、もちろんというべきかデメリットも存在する。それは、弱点をついてもボーナスダメージがつかないということである。基本的に弱点をつけば通常よりダメージが加算されるのが常ではあるが、≪神槍≫にそれはない。それを致命的と解釈するかは個人によって違いが出てくるが、こういう状況では≪神槍≫というユニークスキルの効果は絶大だろう。
「さて、と。めんどくさいが、本気で行くことにしよう。いくぞ、≪天狼ウルファウス≫」
愛槍に一言声をかけ、槍を構えるシリウス。その瞳には獲物を狙う狼のような鋭さがあった。
◆
そこからの戦いは一方的というべきだった。アメミットの攻撃はシリウスに届くこともなければ掠ることさえなく、≪神槍≫の効果により問題なくダメージを与えられるようになったシリウスは再び疾風怒濤の攻撃を繰り出していく。もはやそこはシリウスの独壇場だった。
「こうしてみると、案外呆気ないもんだな」
アメミットのHPゲージが残り一本になったのを確認したシリウスはボソッと呟いた。しかし、≪神槍≫を使っているからこそここまで圧倒できるのであって、ユニークスキルを持たないプレイヤーが攻略するとなるとそれこそ何十時間と戦うことになるだろう。それを思うとシリウスは≪神槍≫に感謝してもしきれない。
「まぁ、何はともあれあと少しで終わりだな」
相手のHPゲージは残り一本。例え、変則的な攻撃を仕掛けてこようともシリウスは対処して見せるだろう。するとアミメットは頭を大きく振りかぶった瞬間、ミサイルの如き速さで大口を開けながらシリウスに迫っていく。たかが鰐の口が大口開けて突っ込んでくるだけではシリウスの脅威にはならない。ギリギリで避けてカウンターを食らわそう、と考えるシリウス。だが、シリウスはあまりにも神話に無知だった。もし、ソレイユがここにいたのならば、最初に教えられていただろう。アメミットという幻獣について。
アミメットとは、古エジプトの死者の書と言うものに描かれている幻獣である。エジプトでは人が死ぬとオシリス神の法廷に出廷して裁きを受けるとされる。死者の心臓は抜き出されて天秤の皿に置かれ、死者が行った証言が真実かどうか判断される。天秤が傾くと、その心臓はそばに控えているアメミットに与えられ、アメミットは大口でこれを喰らう。心臓を喰われた死者は、もう二度と復活できないとされている。
故にあの口には何かしらの仕掛けがあるはずだ、とソレイユなら注意しただろう。だが、生憎とソレイユはこの場にはいない。
「・・・ん?」
シリウスがそれに気が付いたのはアメミットの攻撃範囲外に回避しようとして行動を起こす直前だった。自分のHPを見ると明らかに減っている。否、現在進行形
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