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よく鳴く理由
第一章

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                よく鳴く理由
 梶原信二はこの時友人の萩原雄太郎達と一緒に同じ県のキャンプ場で日帰りのキャンプを楽しんでいた。大学生で赤茶色にした髪の毛を少し長くさせて整髪料で立たせた風にしている。明るい顔立ちですらりとした身体にラフな服装が似合っている、背は一七三位だ。
 バーベキューを食べてビールも飲んだ、車で来ていたが友人の一人が酒を飲まないうえに運転を出来るので帰りは問題なかった。
 それで帰りに後片付けをしている時にだった。木陰の方を見て言った。
「犬いるぜ」
「犬?」
「ああ、そこにな」
 見ればそこにだった。
 黒い長い毛で腹や前足、顔の辺りが白い小さな犬だ。雄太郎はその犬を見て言った。背は信じと同じ位で細面で茶色の髪の毛を伸ばしている痩せた青年だ。信二と同じ大学に通っていてサークルも同じだ。
「チワワか」
「チワワなんだな」
「毛の長いな」
 そうしたチワワだというのだ。
「その種類だな」
「そうか、何でこんなところにいるんだ?」
「捨てられたんだろうな」
 雄太郎は難しい顔で述べた。
「この山にな」
「悪いことする奴いるな」
 信二はビールで酔った顔で言った。
「犬を捨てるなんてな」
「そうだよな、けれど放っておけないよな」
「ああ、保護するか」
「山にいても野垂れ死ぬかな」
「保健所行きだよな」
「街に降りたらな、じゃあな」
「ああ、今からな」
 信二は自分から言った。
「この子保護しような」
「そうしような」
 雄太郎も頷いた、そうしてだった。
 そこにいる面々でチワワを保護した、チワワは雌だった、そして捕まった時。
「キャン!キャン!」
「よく鳴くな」
「チワワだからな」
 だからだとだ、雄太郎は犬を抱く信二に言った。
「だからな」
「それでか」
「ああ、鳴くのはいいけれどな」
「噛まれない様にしないと駄目だよな」
「子犬でも犬は噛む力凄いからな」 
 だからだというのだ。
「そこは気をつけろよ」
「ああ、じゃあ家の近所の病院に連れて行ってな」
「それでか」
「俺のマンションペット可だからな」
 それでというのだ。
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