15,新たな武器
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良かったですし、彼女の眼は澄んでいました。信用に足りる女性です」
「――まあ、情報も無い鍛冶屋だからナ。オイラも知らないネ」
寒々とした天気の中、朝日がさす市場をゆっくりと三人で歩いて行く。
なぜアルゴがいるのかといえば、情報交換で夜に来たときにリズベットの話が出て、興味が湧いたらしい。
そう言えばこいつ最近、攻略本だけじゃなく情報誌も書くようになったしな。
「ウィークリー・アルゴ」だったっけか。
まだ朝が早いため、市場は人が閑散としていた。僅かに残る職人プレイヤー達はみな片付けの準備をしているか、はたまた開店準備中だ。
飯売りのプレイヤーたちだけは声を張り上げ、熱々の汁物を売りさばいている。
「ホントにこんな早い時間からやってるのカ?」
「メッセージもきたし、間違いない。確か、このアタリ――」
いた。という声は口を開けた瞬間にどこかにいってしまった。代わりに、ああという声が漏れていく。
リズベット商店は確かにあった。市場の外れに。昨日と全く同じ場所に。
リズベットは今もなお、一心不乱にハンマーを振るっている。
疲労の色こそ、見えているがその正確さも真剣さもまるで初めて武器を鍛えあげるかのようだ。
「リズベット」
声をかけると、少女はびっくりとした顔でコチラを見上げた。ややあってにい、っと笑顔を見せてくれる。
「ああ、二人とも早いわね。ちょうど出来たところよ」
疲れの余り、ざっくりとした口調でリズベットが挨拶をする。昨日までの片言の日本語ではなく、まるで友達と話すかのようだ。
少女は交換ストレージを開いて、アイテムを見せてくれる。
計8本の短剣がストレージに並ぶ。どれを選んでも昨日見た商品を全て上回ったパラメーターなのは間違いなかった。
これを作るために、この少女はここに留まり続け、武器を作り続けたのか。
「オマエ、なんでそこまで……」
笑わないでね、とリズベットはすました顔で言った。
「初めてのお客さんだから、かな」
ああ、リズベットはこの世界で生きているんだ。唐突にそんな当たり前のことが胸をよぎった。
だからこそ、こんなにも真剣に俺達の命を造ってくれる。
「ありがとな、リズベット。あと、そこのコートも買わせてもらう」
強引にトレード欄に更にコルを増量して、有無を言わせずOKボタンを押す。
短剣もブルーリザード系のレザーコートもその場で装備してお披露目した。
レザーコートはブルーリザードマンらしく水色を基調としながらも所々に装飾が施され、オレンジのアクセントが入っている。
敏捷値の要求値も低く、衝動買いの割には俺のスタイルに合っている。
「こっちこそ、アリガと。あ、ヤヨイのほうも出来てるわよ」
そう言って、ストレージから一本の長剣を取
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