15,新たな武器
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とした足取りで近づいていく。店の前に止まった所で、少女はハッと顔を上げた。
「ッツ!!い・・い・・・らっしゃい……ませ」
唇が奇妙な形に釣り上がる。眼は俺の顔を中心にとんでもないスピードで動きまわっていて、見ているこっちが気疲れしそうだ。
「ちょっと商品見せてもらっていい?」
俺の提案に少女はブンブンと首を縦にふる。曖昧に笑ってお茶を濁しながら、俺は商品に手をかけていく。
商品には鑑定スキルがなくてもわかるようにタグが取り付けられている。どれもこれも他の店の能力を軽く上回っていて、作り手の腕が伺えた。
数本あった短剣を見聞し、その中で性能が最も俺好み――速さと鋭さに特化されたものを選び出す。
商品を見せながら
「これなんだけど、あと5本くらい作れない?」
と声をかけた。
「ェ……お、同じ材料でも……性能は一緒にならないわよ……ですよ」
「ああ、わかってる。俺はどんどん武器を切り替えるからできるだけ近い性能の武器を何本も揃えたいんだ。材料費は全て出すし、要らない性能のはそちらに返す。だから生産してくれないか?」
トレードタブを出して、金を設定する。さっきの石像を売った分に自分の貯金の半分を足して設定すると、少女の顔つきが驚きに変わった。
「こ、こんなに…」
「別に構わない。どれ位に取りに来ればいい?」
少女は唇に手をやり、しばし黙りこむ。すっかりとぎこちない商人から熟練した顔に変わった彼女は明日の朝には、としっかりした声で返事した。
「ありがとな。俺はクロウ。あんたは?」
「――リズベット」
「ああ、よろしくな。リズベット」
商談成立に手を差し出すと、リズベットは一瞬躊躇した後、握手に応えてくれた。
やや遅れて、ヤヨイの方も後ろから声をかけてくる。
「リズベット。私はヤヨイと言います。私の方も一振り作っていただきたいのですが」
そう言って、ストレージを開いてリズベットの方に見せる。リズベットの顔が緊張から驚き、そして再度緊張へと変わった。
「これ、作ったこと無いけど……いいの……ですか?」
「ああ、ここの商品を見ればわかる。あなただからこそ愛刀の生産を託したい」
リズベットの顔が朱に染まる。誇らしそうにゆっくりと頷いた。
「代金の方は……これくらいでいいですか?」
「……いらない」
俺もヤヨイも思わず身を乗り出した。いらない、ってのは要するにタダか?タダなのか。
「タダで構わないわ。そっちの――クロウから多くもらってるし、その、さ。初めてのお客さんだからね」
リズベットは第一号・二号のお客様を最高の笑顔で出迎えたのだった。
「しかし、頼んだけど大丈夫なのか?初めてのお客様って」
「接客が苦手な方が原因では?武器の品質も
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