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ダンシングキャット
第三章

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「何とかね」
「ストレス解消してきたけれど」
「追い付かない時もあって」
 それでというのだ。
「ついつい」
「髪の毛抜いてたけれど」
「ユネが来てからは」
「なくなってきたね」
「もう髪の毛抜こうとしたら」
 その時にというのだ。
「ユネが来てくれて」
「踊ってくれるから」
「それで気持ちが明るくなって」
 そのユネを見てというのだ。
「それでだから」
「そうだね、しかし」
「しかし?」
「そのユネを見ていると」
 翔はそのユネを見て百合に話した、今ユネは普通にソファーの上で丸くなって寝ている。その姿はまさに猫だ。
「何か僕達の考えわかるみたいだね」
「わかるからなのね」
「それでいつも百合がストレスを感じていたら」
 その時はというのだ。
「それがあまり酷くて」
「髪の毛を抜こうとしたら」
「その時にね」
 辛くなっているのがわかってというのだ。
「前に出て来て踊って」
「気持ちを明るくしてくれるのね」
「僕はそこまで強いストレスを感じることはないけれど」
 翔はこれは性格的なものだと考えている、引っ込み思案で他人の言葉を気にする百合と比べて能天気なのだとだ。それでも彼でもストレスを感じることもあるのが人間社会の辛いところであると言えるだろうか。
「それでも百合は違うから」
「ユネはそのことを見ていてくれて」
「それでね」
「いつも踊ってくれるのね」
「そうじゃないかな」
「そうなのね、そう思うと」
 百合は翔のその言葉を聞いて言った。
「ユネがうちに来てくれてよかったわ」
「そうだね、じゃあこれからもね」
「ユネと一緒にね」
「暮らしていこうね」
「ええ、二人と一匹でね」
「そうしていこうね」
 百合に微笑んで話した、そして。
 二人は籍を入れてからも同じ部屋でユネと共に暮らした、それからも百合が深く落ち込むとその時にだった。
 ユネは彼女の前に来て踊った、百合はその度に微笑んで言った。
「ユネ、いつも有り難うね」
「ニャア」
「そんなユネを見ていると」
 笑顔で言うのだった。
「本当に楽しくなるわ」
「ニャンニャン」
 ユネは人の言葉を喋らない、だがそれでもだった。
 そのユネを見ているだけで百合も翔も笑顔でいられる様になった、二人がストレスを感じることはそれだけでかなり少なくなっていた。一匹の猫のお陰で。


ダンシングキャット   完


                 2020・5・23
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