第8章:拓かれる可能性
第245話「決して見果てぬ憧憬」
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屈として言えるのはここまで。後は感覚とか、理屈で語れない要素が関わってるわ。……とにかく、貴方の強い想いが起こした事ってだけ理解していればいいわ」
そこまで言って、ふと優奈は何かに気付いたように帝に近寄る。
「……もう一つ、あの力を発揮する要素があるみたいね」
「もう一つ……?」
「“意志”を形にするための“想い”は、怒りだけじゃ足りないわ。もう一つ、深層意識……それこそ固有の“領域”による……」
少し探るように、優奈は帝を観察する。
ただ見るだけではわからない。
故に、魂を、心を、そして“領域”を視る。
「……そう。これが……これが、貴方の持つ“想い”なのね……」
「ゆ、優奈……?」
帝の胸に手を添え、優奈はソレを感じ取る。
「あの時引き起こした事象は、怒りと悲しみ……そして憧れの“意志”のおかげね」
「憧れ……?」
「ええ。それが貴方が抱いていた根源的“想い”。主人公に、ヒーローに、力を持った存在に、恋焦がれるように憧れている」
「………」
否定する要素はなかった。
確かにそうだと、帝はストンと腑に落ちるように、納得していた。
何より、その事は精神世界でエミヤにも指摘されていた事だ。
納得こそすれど、困惑はない。
「……その“想い”の箍が外れた。だから、“意志”だけで事象に干渉して、思い通りの展開に持っていけた。……あれもまた、“主人公”が勝利する際の構図だから」
「箍……いつの間に……」
「それこそエアを取り戻そうとしたあの時よ」
つまり、怒りと悲しみによって箍が外れ、圧倒的な“意志”で帝が憧れた存在のような逆転劇という事象そのものを再現したのだ。
それは、飽くまで“性質”に沿うしかない神界の神にも出来ない事だった。
「帝、貴方の“意志”……どれくらい発揮できる?」
「どれくらいって言われてもな……」
「質問を変えるわ。貴方にとっての憧れの存在は、もし自分と同じ立場にいた時、あいつらに負けるかしら?」
目を向ければ、そこには追い付いてきた神や“天使”の姿があった。
一瞬、優奈の質問の意図に気付けなかった帝だが、答えは自然と口にでた。
「―――いいや」
「それが答えよ。その絶対的なイメージが、今の貴方の“意志”の強さよ」
そう言って、優奈は帝に理力を流し込んだ。
最後の一押しとも言える一手を打つために。
「そう。貴方にとって憧れの存在は、このような事態に陥っても自分以上に上手くやると“確信”している。その根源的な“想い”を、外界に展開すれば……」
「想いを、外界に……?」
「そうね。分かりづらければ、固有結界と思えばいいわ。私
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