ターン27 「呪われし」懐古の悲願
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そちらを直接狙われては意味がない。
しかし、鼓が舌打ちした理由はそれだけではない。
「超重武者カカ−Cはプレイヤーの墓地に魔法も罠も存在しないときにのみ、自身の戦闘によって発生する自分へのダメージを0にする効果がある。けれどメタルフォーゼ・カウンターが墓地に送られたことで、その効果も消えた……の、よね?」
「見ればわかるだろう、そんなこと」
「あらごめんなさい。それじゃあ、墓地の錬装融合の効果を発動するわ。このカードを墓地からデッキに戻して、カードを1枚ドロー」
仏頂面での短い返事に、笑いながら口先だけの謝罪で返す。さりげなくエルドリッチの効果によって負ったディスアドバンテージを回復し、次いでまたカードを伏せる。
「カードをセットして、黄金卿エルドリッチの更なる効果を発動。今伏せたカードを墓地に送ることで、墓地に存在するこのカードを手札に。そして手札からアンデット族を相手ターン終了時まで攻守1000アップ、効果破壊耐性をつけた状態で特殊召喚するわ。ミリオネクロ・ホロウ!」
先ほど鼓のカードが徐々に黄金化していったのとは対照的に、七曜の伏せたそれは間髪を入れず黄金の塊へと変化した。分厚い黄金の板と化したそれが音もなく粉々に砕けて黄金の風となり、エルドランドの内部へと吸い込まれる。
そしてそれと入れ替わるようにして現れた、支配者たる悠然とした足取りで黄金の道の中央を歩む影はエルドランドのたったひとりの主。『成金の女王』と揶揄され、蔑まれ、しかしその実力に羨望をもって語られた七曜という女をまさに体現するかのような、彼女のエースモンスター。
「誇示する相手もいない財宝、呪われた不死なる億万長者。この世ならざる魔性の輝き!黄金と共に来たれ、黄金卿エルドリッチ!」
黄金卿エルドリッチ 攻2500→3500 守2800→3800
「本当に、私のことは言えた義理じゃないな。結局、何ひとつ変わってやしない」
「みんな心のどこかではあの時代、私たちが真っ当にプロデュエリストとしてやっていけた時代が懐かしいし、戻れるものならそこに戻りたいのよ。だから口ではなんて言おうとも、みんなデッキの大まかなコンセプトはあの時から変わってない。あなたがそのデッキを今でも大事にしているのも、昔の『錬金武者』の名前に未練があるからじゃなくて?」
これも揺さぶりを狙った心理戦かとも思ったが、すぐにその表情を見て考えを改めた。どうやら七曜は、本気で鼓に問いかけてきているらしい。
しかし、鼓はそんな問答に付き合うつもりなどなかった。もしこの質問をぶつけられたのが糸巻であれば、もう少し効果はあったろう。しかし鼓は、自分の仕事や現状に対しては彼女よりも割り切って捉えていた。なにせこれは、鼓自身が選んだ
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