暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン27 「呪われし」懐古の悲願
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れば死傷者なんて0だって構わないの。なんなら、避難誘導だって手を貸してあげるわよ。だから、黙って見ていてくれないかしら?」
「何を言い出すかと思えば。だから手を引けと?身勝手にもほどがあるな」

 突然の誘いを、鼓がばっさりと切って捨てる。しかし七曜はそんな反応も想定の内だったのか、特に怒り出す様子もなく小さく肩をすくめるのみに留めた。そして、また口を開く。

「そう。交渉決裂、ね」
「なんだ、今ので交渉のつもりだったのか。私はてっきり、挑発の役目すらまともに果たせないできそこないかと思ったぞ」
「……あなた、最近糸巻に似てきたって言われてない?」
「ふむ、今のほうがよほど効いたな。覚悟しておけ、なかなかに腹が立った」

 呆れ顔に皮肉な笑みで返し、互いにデュエルディスクを起動する。お互いにこのまま向かい合っていても襲い掛かる隙などないことを改めて実感し、正面突破に狙いを切り替えたのだ。ぱっと俊敏な動きで立ち上がった七曜が部屋の端、窓際までバックジャンプして距離をとると、近場にあったカードの山がその衝撃に耐えきれず崩れる。ボマー・ドラゴン、大気圏外射撃、ニトロユニット。

「「デュエル!」」

 先攻に選ばれたのは、鼓。素早く手札に目を通すとほぼノータイムでその中から1枚のカードを取り出し、デュエルディスクに置く。最初にマンションの一室に呼び出されたのは、巨大な弩の形をしたモンスター。

「私のターン。超重武者装留イワトオシを召喚する」

 超重武者装留イワトオシ 攻1200

「そして超重武者モンスター、イワトオシ1体を左下のリンクマーカーにセット。母なる大地に根を張りて、防衛線を指し示せ。リンク召喚、リンク1。超重武者カカ−C!」

 超重武者カカ−C 攻0

 イワトオシが渦となってその頭上に現れた六角形のうち1つの角に吸い込まれる。そして代わりに空中から落下し、ドスリと重い音と共に床へと深々と突き刺さったのは、機械仕掛けの案山子。

「あら、代わり映えしないわねえ。私もそんなに、人のことは言えないけど」
「この瞬間、フィールドから墓地に送られたイワトオシの効果を発動。デッキから超重武者1体を手札に……」
「はい、灰流うらら。いい加減どこが弱いかはわかってるわよ、また一昨日来て頂戴」

 案山子の周りをどこからともなく湧き上がった桜吹雪がくるくると回り、その視界を塞ぐ。デッキに触るほぼすべての行為に対し明確なメタとなる手札誘発、灰流うららは他の多くのデュエリストと同じく鼓に対してもよく刺さる。そして今の鼓は、それに対する更なるカウンター手段を持ち合わせていない。

「……ならば、超重武者カカ−Cの効果を発動!」

 機械仕掛けの案山子が、言わら帽子の下でその2つの目を光らせた。左手にく
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