ターン27 「呪われし」懐古の悲願
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ので、それまでこの件は他言無用でお願いします」
下手なことをしたらわかっているなと言いたげな……ここで重要なのは先ほどの協力要請と同じく、あくまで明言はしないということだ。脅迫や詐称の寸前で踏みとどまることで、余計な言質を取られることを防ぐ。仮に今の会話が録音されていて出るとこに引き出されたとしても、ふんぞり返って偉そうにこう言い捨てればいい。
『確かに私は言葉足らずだったが、別に間違ったことは言っていないだろう?』
もっとも今回の哀れな管理人の反応を見る限り、そういった面倒に巻き込まれる可能性は低いだろう。まあ、どちらにしても今は関係のない話だ。そして、こんな思考回路だからこそこの女には糸巻の友人などというけったいな役どころが務まるのだ。
くるりと背を向けてエレベーターに向かい、呼び付けるボタンだけ押して隣の階段へと足を向ける。目当ては4階、そして電光表示によればエレベーターの現在地は6階。とりあえずこのエントランスに呼びつけておけば、もし現場からテロリストの片割れが逃げ出そうとしても多少の時間を稼ぐことができる。
軽い足取りで息ひとつ切らさずに登り切り、あまり意味があるとも思えないが一応足音を殺してその部屋……404号室の前で立ち止まる。さあ、問題はここからだ。こうやって追い詰めて、そこからの相手の対応は大きく分けて3つに分けられる。
ひとつが、このまま不意を突ける場合。これは所詮その程度の相手、さほど考える必要もない。厄介なのが残りのふたつで、まずこちらの接近に気が付いた段階で逃亡を図る場合。この手のテロ計画は大体逃亡用のルートが用意してあるものであり、当然その追跡は困難を極める。厄介、というよりもただただ面倒だ。
そしてもうひとつが、こちらを迎え撃って当初の計画を強行しようとする場合。基本的にはもう後がない破れかぶれの裏返しだが、今回の計画にはカード集めの段階でかなりの金と人員、そして時間が動いている。こちらの選択肢も意識して動くべきだろう。
「……」
デュエルディスクを起動し、対「BV」妨害電波発生装置の出力を最大まで引き上げる。そのまま気配を断ち、音を殺し、合鍵をゆっくりと回す。手の中で、かちりと鍵の開く感覚。
一呼吸あけ、武骨な鉄のドアを最大まで引き開けた。
「デュエルポリスだ、神妙にしてもらおうか!」
最初に鼓の目に飛び込んできたのは、玄関からリビングへとつながる廊下中に散乱した大量のカードだった。セメタリー・ボム、爆導索、機限爆弾……効果もサポートもばらばらなカードたちにただ一つ共通するのは、それが爆発や炎に関するものであるという一点。もしこれが一斉に実体化したら……冷や汗を感じ、小さく唾をのむ。物言わぬカードたちが、ひどくプレッシャーを放っているように見えた。周りに絶え
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