ターン27 「呪われし」懐古の悲願
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の牙が凱歌代わりの叫びを高らかに崩壊していくエルドランドに響かせた。
「そんな……あと少しで、また私たちの時代が……」
崩れ落ちたのは、エルドリッチだけではない。七曜もまた激戦による疲労とダメージ、そしてそれ以上に確かに掴みかけたはずの勝利と悲願が手の中から零れ落ちていく感触に耐えきれず、悲痛な言葉を最後に気を失ってその場に倒れ込んだ。
「正直、突然すぎて私としても困るんだがな。ともあれ助かった、礼を言わせてもらう」
ゆっくりと、ソリッドビジョンが消えていく。元のマンションの一室で、倒れた七曜を無表情に見下ろす鳥居へと鼓が頭を下げる。
「……」
「それにしても、一体これまでどこにいたんだ……とは、私からは聞かないでおこう。私の立場であまり聞くのも悪いとは思うが、どうせ糸巻もここに来たら同じことを聞くだろうからな」
「糸巻さんが?」
共通の知人の名に、ようやく反応を見せる。とにかく不愛想なこの青年との会話のとっかかりを見つけた鼓が、気楽そうに肩をすくめる。
「ああ。ここの場所は知っているからな、すぐに来るさ」
「そうか……」
そして何を言おうとしたのかは、ついに明かされることはなかった。どたどたと走る靴音が2人分近づいてきて、躊躇なく玄関扉が開く。
「来たな、糸……」
「おい、本当にここで合ってるんだろうな?くだんねえ嘘ついたらこの場でぶちのめすぞ」
その瞬間、何か嫌な予感がした。それは理由もない鼓の勘でしかなかったが、歴戦の戦士の勘というものは厄介なことによく当たる。その言葉に嫌味たっぷりに返した男の声を聴いた瞬間、鳥居の体がはっきりと強張った。
「この大量のカードが見えないんですか?まったく無駄口ばかり叩いて、デュエルポリスという職業は脳も足りてないのに柄だけは悪いですねえ。それとも頭も柄も悪いからこそ、そんな仕事しか見つからなかったんですか?」
あちゃー、という気分になる。この声は、鼓自身にもよく聞き覚えがある。まったく、なんでよりによってこのタイミングで一緒になってくるんだか。躊躇なく土足で踏み込んで近づいてきた2人が、止める間もなくリビングのドアを勢いよく蹴破った。
「鼓!そっちはどうだ、無事……か……」
「糸巻さん」
リビングに踏み入った瞬間にさっきまでの威勢はどこへやら、まるで浮気現場を押さえられたかのように、顔を青くしてだらだらと冷や汗を垂らす糸巻。互いにそれぞれの事情から固まって言葉も出ない2人に、破滅の元凶がひょっこりと顔を出す。
「そんなところで何をしているんですか?早く……おや、貴方は。これはこれは、お久しぶりですね」
「巴……お前な」
遅れてやってきた第5の人間、巴光太郎に少しは空気を読めと言いか
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