第24節「守りたい笑顔」
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ほしい……ッ!」
その言葉に、わたしは強く頷いた。
「わたしに、出来ることがあるのなら……。わたしがそうすることで、二人の命を守れるのならッ!」
その頃、シミュレータールームでは……翼が一人、鍛錬に勤しんでいた。
「はぁ、はぁ……ッ! もっと……もっと強力な仮想敵をお願いしますッ!」
目の前で翔と響をネフィリムに晒し、戦場から引き離したくて言った言葉で響を傷つけ、そして今回、二人の危機に間に合わなかった。
(私は強くならなければいけない……ッ! 今の私では……あまりにも無力過ぎる──ッ! こんな弱い私では……奏に向ける顔がないッ!)
自分を追い込み、責め続ける。
その命を燃やして自分や響を守ってくれた、奏の最期を思い出しながら。
「足りない……。もっと、もっと私は──私が、二人の分まで強くならなければ……ッ!」
ff
翌日、朝の10時頃の事。
都内のスーパー『STOREカワグチ』から、調と切歌は大量のレジ袋を抱えて出てきたところだった。
「楽しい楽しい買出しだって、こうも荷物が多いと面倒臭い労働デスよッ!」
「仕方ないよ。過剰投与したLiNKERの副作用を抜けきるまでは、おさんどん担当だもの……」
「あ……持ってあげるデス。調ってば、なんだか調子が悪そうデスし……」
調の顔色があまりよくない事に気づき、切歌は調に自分の手を差し出す。
「ありがとう。でも平気だから……」
「むうう……じゃあ、少し休憩していくデスッ!」
そう言って切歌は調と二人、静かに休憩できる場所を探して歩き出した。
辿り着いたのは、解体途中の工事現場だった。
人もいないので、資材の上に座って菓子パンを空ける。
「嫌な事も沢山あるけれど、こんなに自由があるなんて……施設にいた頃には想像出来なかったデスよ」
「うん……そうだね」
クリーム入りメロンパンを齧りながら喋る切歌に対して、調は膝の上に乗せたビターチョココロネを空けもせず、ただ俯いている。
「フィーネの魂が宿る器として、施設に閉じ込められていたアタシたち……。アタシたちの代わりにフィーネの魂を背負う事になったマリア……。自分が、自分でなくなるなんて怖い事を、結果的にマリア一人に押し付けてしまったアタシたち……」
メロンパンを食べ終え、切歌は黙りこくったまま喋らない調の方を見る。
「はぁ……はぁ……」
「調ッ!ずっとそんな調子だったデスか?」
調は息が荒く、額には汗が浮かんでいる。
どう見ても正常な状態ではない。体調がよろしくないのは明らかだ。
「大丈夫、ここで休んだからもう──」
切歌に心配をかけまいと、無理して立ち上がったその時──。
立ち眩みを起こした調は、す
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