暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第24節「守りたい笑顔」
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を睨むように見ながら、釘をさすように言った。

「それから……忘れんなよドクター。生弓矢は計画の後、セレナを蘇らせる為の物だ」
「ええ、勿論。既にRN式用コンバーターへの組み込みは終わっています。後は君次第ですよ」
「……ならいい。来るべき日に備え、俺はこの腕を馴染ませておくだけだ」

それだけ言うと、ツェルトはシミュレータールームへと向かって行った。

「ケッ……」

ツェルトが出ていった直後、博士が舌打ちしていた事は、誰も気にも留めていない。

日が沈んでから降り始めた雨。それに濡れた窓の外を見る博士の顔が、どんな表情をしていたのかも……この時は誰も知る由がなかった。

ff

「君には、知っておいてもらいたい事がある」

発令所にやって来たわたしの目に入ってきたのは、机に両手をついて俯くクリスと、悔し気に歯噛みしている純くん。

そして、モニターにでかでかと表示される、響と翔くんのレントゲン画像だった。

「これは……」
「胸に埋まった聖遺物の欠片が、翔と響くんの身体を蝕んでいる。これ以上の進行は、二人を人でなくしてしまうだろう……」
「そんな……」

さっき緒川さんに聞いたところ、医療班の人達が頑張ってくれたおかげで、二人の胸から突き出していた結晶は全て取り除かれたらしい。

でも、これ以上二人の症状が進行すれば、それでは間に合わなくなるってことぐらいは、わたしにも想像がついた。

結晶が全身から突き出し、皮膚どころか臓器までを突き破ってしまう可能性が高い。そうなったらもう、手の施しようがない事も気付いている。

これ以上は、二人が死んでしまう。
響と翔くんが本当に、わたしの手の届かないところに行っちゃう。

そう思うと、たまらなく怖くなった。

「今、了子くんが症状を抑える方法、及び治療法を模索してくれてはいるが……」
「くそったれが……ッ!」
「こんな事って……」

クリスが机を思いっきり蹴りつけているのに、今日の純くんはそれを止めない。

純くんにとっても、翔くんは大切な親友で、響はその恋人だ。常に平静な純くんとはいえ、こればっかりは無理もないと思う。

でも、わたしは諦めたくなかった。

わたしが呼ばれた、という事は、わたしにしかできない事があるからだ。

「──つまり、今後に二人が戦わなければ、これ以上の進行はないのですね?」
「響くんにとって、親友の君こそが最も大切な日常……。君の傍で、穏やかな時間を過ごす事だけが、ガングニールの侵食を抑制できると考えている。そして、それは響くんと深く繋がっている翔にも同じ事がいえる。君が響くんを引き留める事が、翔を救う事にも繋がるんだ」
「わたしが……二人を……」
「うむ。響くんを、そして翔を、守って
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ