第24節「守りたい笑顔」
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を睨むように見ながら、釘をさすように言った。
「それから……忘れんなよドクター。生弓矢は計画の後、セレナを蘇らせる為の物だ」
「ええ、勿論。既にRN式用コンバーターへの組み込みは終わっています。後は君次第ですよ」
「……ならいい。来るべき日に備え、俺はこの腕を馴染ませておくだけだ」
それだけ言うと、ツェルトはシミュレータールームへと向かって行った。
「ケッ……」
ツェルトが出ていった直後、博士が舌打ちしていた事は、誰も気にも留めていない。
日が沈んでから降り始めた雨。それに濡れた窓の外を見る博士の顔が、どんな表情をしていたのかも……この時は誰も知る由がなかった。
ff
「君には、知っておいてもらいたい事がある」
発令所にやって来たわたしの目に入ってきたのは、机に両手をついて俯くクリスと、悔し気に歯噛みしている純くん。
そして、モニターにでかでかと表示される、響と翔くんのレントゲン画像だった。
「これは……」
「胸に埋まった聖遺物の欠片が、翔と響くんの身体を蝕んでいる。これ以上の進行は、二人を人でなくしてしまうだろう……」
「そんな……」
さっき緒川さんに聞いたところ、医療班の人達が頑張ってくれたおかげで、二人の胸から突き出していた結晶は全て取り除かれたらしい。
でも、これ以上二人の症状が進行すれば、それでは間に合わなくなるってことぐらいは、わたしにも想像がついた。
結晶が全身から突き出し、皮膚どころか臓器までを突き破ってしまう可能性が高い。そうなったらもう、手の施しようがない事も気付いている。
これ以上は、二人が死んでしまう。
響と翔くんが本当に、わたしの手の届かないところに行っちゃう。
そう思うと、たまらなく怖くなった。
「今、了子くんが症状を抑える方法、及び治療法を模索してくれてはいるが……」
「くそったれが……ッ!」
「こんな事って……」
クリスが机を思いっきり蹴りつけているのに、今日の純くんはそれを止めない。
純くんにとっても、翔くんは大切な親友で、響はその恋人だ。常に平静な純くんとはいえ、こればっかりは無理もないと思う。
でも、わたしは諦めたくなかった。
わたしが呼ばれた、という事は、わたしにしかできない事があるからだ。
「──つまり、今後に二人が戦わなければ、これ以上の進行はないのですね?」
「響くんにとって、親友の君こそが最も大切な日常……。君の傍で、穏やかな時間を過ごす事だけが、ガングニールの侵食を抑制できると考えている。そして、それは響くんと深く繋がっている翔にも同じ事がいえる。君が響くんを引き留める事が、翔を救う事にも繋がるんだ」
「わたしが……二人を……」
「うむ。響くんを、そして翔を、守って
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