第47話 草刈りの終わり
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コクラン大尉もライガール星域管区から戻ってきて、バグダッシュと俺も加わって久々に司令部全員が集合したにもかかわらず。
「……いったいなんなんです、アレ」
映像が終わり真っ暗になったスクリーンを前にして、最初に不満の煙を漏らしたのはファイフェルだった。年長者たちには聞こえない声で、俺に囁いた。
「トリューニヒト国防委員でしたっけ。彼はこの作戦で何か仕事したんですか?」
「機雷の手配への口利き。コクラン大尉をここに配属させる口利き。中央法務局から憲兵隊へ業務委託させた口利き。まぁ実にフィクサーらしい仕事をした……らしい」
「……小官はトリューニヒト国防委員の口利きでここに来たつもりはないんですが」
俺の声が思いのほか大きかったのか、これにコクラン大尉が乗ってくる。まぁ彼はそう思うだろうし、勘繰られるのも迷惑な話だろう。爺様とモンシャルマン大佐の少し冷めた視線がこちらに向いているのを確認し、俺個人の想像と断ったうえで、昨年末バグダッシュに話したことを話した。そして程度の差こそあれ、露骨に不満の表情を浮かべる。
「投資先として儂は歳を取りすぎておると思うから、恐らくはジュニア目当てじゃろう」
両手の上に顎を乗せ、三白目になった爺様は、吐き捨てるように言った。
「まさに寄生虫じゃな。安全で快適な首都におって、危険は全て他人に押し付け、果実の上手いところだけをすべて持っていく」
「貴官の想像が正しければ、この治安維持作戦の評価を大きく上げたブラックバートの捕縛に彼はなんにも関与していない。失敗すれば他人のせい、成功すれば自分の功績か。あの弁舌は盗賊の舌だ。あの舌で自由だの民主主義の勝利だの言われると、気持ちが悪くなる」
モンシャルマン大佐も全く容赦がない。
「仮にまたガンダルヴァ星域管区に戻って仕事することになっても、あまりいい気分ではできそうにないですね」
散々機雷やら船舶やらゼッフル粒子やらの調達で苦心したコクラン大尉の心中は複雑そうだ。
「ですが、あれこそ今の政治なのでしょうな」
そんな中で空気を全く読まず、バグダッシュがボソッと呟いた。醒めた口調がより部屋の温度を低下させる。
法的な問題点を補正し、軍や機構の動きを潤滑化させる為に表に出さずに各所を調整する。それが政治の仕事だ。それは爺様も大佐も十分すぎるほど理解しているのだろうが、トリューニヒトのように露骨にさも自分が統括して指揮しましたと言わんばかりの態度が気に入らないのだろう。爺様の舌鋒は、当然のごとく俺に向く。
「ジュニア。後始末の方はどうじゃ?」
「刈り切った草は焼却炉に持っていきましたので、次は土を掘り起こす番です」
「よかろう。航路開削と掃宙訓練はやればやるほど上手くなるモノじゃからな」
そういうと爺様は、すっかりぬるく
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