第45話 マーロヴィアの後始末
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。バグダッシュから情報部、情報部から防衛部会、防衛部会から国防小委員会・憲兵審議会、そしてそこから何故か中央法務局にジャンプして、来た道を折り返してきた。口利きだけなら大した労力でもない。後で面子やら区割りやらが問題になるかもしれないが、そこは口先から生まれた巧言令色の権化だ。あくまで口を利いただけで『直接的な利益を得たわけではない』し、『正義を実現する為に手を貸した』だけなのだ。
間違いなく。そう間違いなくこの草刈りと種蒔きが終わった後、俺は例の国防委員様にお会いすることになるだろう。彼自身が俺の能力をどう評価しているかはわからない。だが現時点において、俺は彼にとって利用価値がある人間であろうとは思う。職業軍人一家の御曹司。シトレ中将の秘蔵っ子。士官学校首席卒業者。フェザーンでの失態も既に耳にしているだろう。硬軟両手を使い分けて俺を軍内部における飼い犬にしたいと考えているのは、このマーロヴィアの草刈りに対する彼の一方的なボランティアでも明らかだ。
社会にとっての悪性がん細胞、信じてもいない正論を吐く人間、どんな時も傷つかない男。原作における同盟側の最大の悪役。まだ実力も何もない時点で黒狐とご面識を頂いて、次に寄生木と出会うというのは前世の俺はどんな悪いことをしたのだろうかと思い返したが、家屋に発生する特定の昆虫類に対する虐殺行為以外、大してないはずだ。
「……自分の家と道路を清掃し終えたのに、今度は隣家の倉庫掃除の手伝いもしなくてはいけないとはツイてないです」
「私もそこまで面倒を見なくてはならないのかとは思わないでもないが、不愉快であっても法的根拠がある以上これも仕事なのだ。何しろここはハイネセンから四五〇〇光年離れているのでね」
モンシャルマン大佐の検察当局に対する嫌味を含んだ返答に俺も頷いたが、これも軍外で孤軍奮闘していたパルッキ女史の助けになるならと思わないでもなかった。
「連邦警察からの委任拘束令状があるとはいえ、憲兵隊が民間人それも行政府高官を拘束するというのは実に外聞が悪い。くれぐれも行動は慎重にな」
「了解しました」
「すでに宇宙港内部の監視も実施している。貴官から連絡があり次第、検問を設置する。正直そこまでしたくはなかったのだが……」
憲兵隊の規模が小さいとはいえ宇宙港に検問を設置するとなれば、クーデターと疑われても仕方がない。いくら中央から遠く離れているとはいっても、民間施設における検問を警察ではなく軍が行うことへのアレルギーは当然ある。一般に星域軍管区が海賊討伐作戦を大規模に実施していることは公表されているが、だからといって自分達に不都合が及ぶことを容認しているわけではない。
小惑星鉱区の操業認証の取り消し。護衛船団という事実上の航路統制。小惑星帯で何故か頻発する(ゼッフル粒子)大火災
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