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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第43話 ブラックバート その2
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いた。

「貴官のような人物が上官であったら、儂の生き方も少しは違っていたかもしれんな」

 それがどういう意味か、俺はカールセン中佐にあえて問うような真似はしなかった。一時間後、勝手知ったる同盟軍標準駆逐艦内部の制圧は完了し、生きている海賊は全員拘束の上、薬物で眠らせた。装甲服を脱いだ副長は艦の制御を手中に収めることに成功したと報告してきた。

 その間も別動隊の方では刻々と状況が進行している。

 臨時に別動隊先任指揮官となったミゲー三四号のブルゼン少佐はサルード一一五号のマルソー少佐と、ミゲー七七号のゴートン少佐はユルグ六号のリヴェット少佐とコンビを組み、ブラックバートの扮した護衛船団へと攻撃を仕掛ける。

 まずミゲー三四号が船団の正面に立つサラヤン一七号に向けて、念のために「今日は何の日」と誰何信号を撃つ。当然サラヤン一七号側は何のことかさっぱりわからない。サラヤン一七号の艦長が強烈にブルゼン少佐を糾弾している間、船団は平行二列縦隊から密集上下二列横隊へとゆっくり陣形を変えていく。

 割符なしと判断したブルゼン少佐は、航路左右の浮遊小惑星に隠れていたミゲー七七号とユルグ六号に横隊の上下へ全力射撃と突入を命じると、ミゲー三四号の艦尾に追従していたサルード一一五号を切り離し、両艦でサラヤン一七号へと襲い掛かる。

 左右からの襲撃で武装商船は戦列を組んでミゲー三四号を撃つどころではなく、サラヤン一七号は二隻の巡航艦の集中砲火で宇宙の塵となり果てた。嚮導役の駆逐艦を失った武装商船は最早烏合の衆でしかない。それぞれに反撃と逃走の道を模索しようとするが、戦闘能力が格段に違う巡航艦が常に二対一で追い込み漁のように襲い掛かると、二時間かからず降伏した一隻を除いてすべて撃沈された。

 ラフハー八八号に接舷されてから都合四時間。ラフハー八八号の艦長が言っていたことが正しければ、残りの戦艦と巡航艦二隻の一行が到着するのは一時間後。戦艦を巡航艦三隻分の戦力と考えれば、既存戦力比はほぼ互角。ウエスカの副長にラフハー八八号の指揮を執ってもらう手もあるが、その手はむしろウエスカの戦闘能力を低下させることにしかならない。
 一時間という制限時間で、ブラックバートを打ち破る作戦を立てるのはほぼ不可能だが、事前に想定している戦闘計画から近いものを引き出すことは可能だ。通信封鎖を解除し、ウエスカ以外の艦長とラフハー八八号にいるウエスカの副長を通信画面に呼び出す。

「ここでブラックバートを撃破します。逃走を許すわけにはいかないので、跳躍宙点側に二隻、ウエスカ側に二隻で分散配置します。挟撃戦です」
「ボロディン大尉、降伏した武装商船はどうする? 降伏した奴らは拘束して、可能な限り冷凍睡眠状態にしているがこのまま放置するのか?」
 ブルゼン少
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