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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第41話 マーロヴィアの草刈り
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破された海賊船団は、現場に残された遺留物及び数名の生存者の証言により、撃破された海賊は大手組織のバナボラ・グループと判明。

 四月一四日 アブレシオン星系にて単独航行中の民間船が海賊船団に襲撃。緊急通信を受けた第三パトロール小隊が急行したところ、当該船舶の無事を確認する。しかし発見時、航行動力は切られた上で乗員はすべて船内にて昏睡状態で拘束され、搭載品は無事であったがその中から大量のサイオキシン麻薬が発見される。

 四月一八日 メスラム星系小惑星帯のD鉱区にて大規模破壊事故発生。鉱石プラント船は付近の小惑星帯ごと完全に破壊され、内部に多数の死亡者を確認。付近を遊弋していた脱出ポットの中に生存者若干名あり。彼らは以前他星域で誘拐された被害者の模様。彼らの証言から、この鉱石プラントが海賊の根拠地であったと判明する。

 四月二二日 ヨルバ星系にて単独航行中の商船が海賊船団に捕捉される。第二パトロール小隊が到着するも、その目前で商船を爆破し、船団は逃走。商船内に生存者なし。

 四月三〇日 メスラム星系にて海賊集団ツカシューレ・グループが、星域軍管区司令部に降伏する旨連絡。同グループの本拠地である小惑星帯Q鉱区に演習用機雷とゼッフル粒子が散布されたことにより脱出が不可能になった為とのこと……



「……そういうわけで、ご隠居様は近頃のお坊ちゃまの成長を大変喜んでおられますな」

 画面の向こう側のバグダッシュは、無精ひげに手を当てつつ上目遣いで俺に言った。

「ただ片言しか話せないことが残念だと仰ってました。それと若旦那に転送したお手紙は安全ですから、すぐに中身確認しておいてください」
「……ちょっと待って。アンタなに勝手に人のメールフォルダの中身を確認してんの?」
「それが執事の仕事でございますから」
「……いつから主人のメールフォルダを開くのが執事の仕事になったんですかね?」
「申しあげておきましたからね。必ずご開封してくださいよ。でないと、若奥様に嫌われますよ」

 傍受したところで海賊討伐を実施している軍関係者の相互通話とも思えない会話は、いつものようにバグダッシュの方から切られた。俺は端末を開いて内容を確認すると、奇妙な宛先からのメールが届いているのが分かった。『マルブランク芸能プロダクション』……聞いたこともないし、俺に関係があるとも思えない。だが、あのバグダッシュがあそこまで言うのだからと判断し開封すると、画面に映る自分の瞳孔が急激に変化していくのが分かった。

 帝国語でプロダクション社長の名前はニコラウス=ボルテマン。件名は「現在同盟で活動している所属歌手の、今後のスケジュールについて」 そして内容は「ガンダルヴァ星域管区にて四月二九日、期待の大型新人ユニット『ロイヤル・フォーチュン・一二』
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