第41話 マーロヴィアの草刈り
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准将のように特殊戦を実施しているが、それほど大規模には実施していない。理由は単純。イゼルローン要塞の建造だ。建造に際してそれまでも厳重な警戒網が敷かれていたイゼルローン回廊の出口付近は蟻の出入りする隙間の無いほどにまで強化され、物理的な突破が困難になってしまった。
今も昔も統合作戦本部は不正規戦をあまり重要視してはいなかったが、高いリスクを払ってまで実施する意味がないと判断し、以後帝国本土における私掠戦は中止された。もちろん、裏には巻き添えを喰らっていたであろうフェザーンからの圧力があったに違いない。
「もっともらしく海賊行為をするのが今回の作戦には必要です。盛大にやりましょう」
それから一月半の間。特務分隊はブラックバートとしてマーロヴィア星域を暴れまわることになる。後日ファイフェルが纏めてくれた軍の報告書からいくつか抜粋すれば……
三月一三日 クビュ星系において単独航行中の商船『レキシントン三二号』を襲撃。救援信号を発信する商船に強行接舷。搭載されていた食料品や生活物資を強奪。乗組員(※無人)を残し、通信回線を開いたまま撃沈するという残虐行為が行われる。
三月一八日 グアンナ星系外縁部において単独航行中の鉱石運搬船を襲撃。複数の巡航艦クラスの海賊船と駆逐艦クラスの海賊船が遭遇。駆逐艦クラスの海賊船と鉱石運搬船が共に撃沈する。通報を受けた巡航艦ミスリル一三九号が急行し残りの海賊船を追撃するも振り切られる。
三月二三日 クビュ星系において護衛船団『A−〇三』が海賊船団と遭遇。巡航艦クラス五隻からなる大集団に、護衛艦五隻が迎撃。砲撃戦となるも双方に損害なし。ただし、護衛艦の一隻が海賊船団の内部通信を傍受。文中に『ブラックバート』の記載を確認。
三月二八日 ソボナ星系において所属不明の砲撃戦が行われていると付近を航行中の護衛船団『C−七七』より通報。近隣をパトロール中の駆逐艦ヴィクトリア七六六号が急行。周辺宙域にて無数の艦船破壊片を確認。駆逐艦にして七隻相当のもので、すべて民間船改造のものと判明。しかし護送船団ルートからかなり外れていることから、捜査は難航。
四月三日 クビュ星系にて護衛艦一隻を伴う軍小型輸送船レヴォニア一〇八八号が海賊集団に襲撃され、護衛艦が撃破された上、輸送船搭載物資を強奪される。この際に海賊船側より『ブラックバート』である旨の通信が発せられる。
四月七日 ソボナ星系において護送船団『W−〇九』が巡航艦クラス五隻からなる海賊船団と遭遇。護衛艦隊が撃退に成功。損害なし。
四月九日 軍の護衛を断った民間船団が、七隻の海賊船団に襲撃される。緊急通信を受けた駆逐艦オーベンス三四号が急行すると、海賊船同士での戦闘を確認。一方がもう一方を圧倒し、オーベンス三四号を確認すると逃走。撃
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