第41話 マーロヴィアの草刈り
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航跡監視記録装置を搭載した事実上のスパイ衛星として活用する。そこで得られたデータは軍管区司令部で処理し、次の機雷敷設ポイントを決定する。ポイントはバグダッシュを通じて、俺個人に連絡される。
また非情な海賊を演出する為、気密すらできていない自動操縦の老朽標的艦に通信機を仕込み、それを撃破するというマッチポンプを実施して、本家ブラックバートの名を失墜させる。かつてブラックバートの名を騙った宇宙海賊が数週間もしないうちに沈黙したのは、面子を潰された本家が出張ってきたからだろう。こちらは海賊の情報網も利用して悪名を轟かせるわけだから、それだけプライドの高い集団であれば、さほど時間をかけずに出てくるのは間違いない。できればブラックバートに砲撃有効射程の長い戦艦がいないことを祈るのみだ。
「以降、作戦終了まで船体をすべて黒に塗装します。何か質問がございますか?」
「降伏して裁判を希望する海賊も、容赦する必要はないのか?」
巡航艦サルード艦長のマルソー少佐が手を上げて問いかけてきた。辛抱強い指揮官であるという評判通り、俺のような若造が指揮する訓練でも表立って批判はしてこなかったが、流石に裁判なしで仮借なく攻撃するのは同盟軍基本法に抵触するのではないか、と言外に言っているのは間違いなかった。
「動力を停止し、無抵抗で船を捨てて出てくるというのであれば命だけは助けますが、それ以上の温情を海賊に与える必要はありません」
「偽装艦と民間船の区別はどうする? そこまで強硬にやる以上間違って撃沈しました、という言い訳は通じないぜ」
ゴートン少佐が皮肉ぶって肩を竦めて言った。
「すでにマーロヴィア星域を航行する民間船舶に対して、航行計画票の事前提出を求められております。隣接するライガール・タッシリ領星域には、マーロヴィア星域へ航行する船舶すべてに対し護衛船団運行指示が出されておりますので、それ以外の独航船舶には、『航路外へ誘導し、強行接舷による内部査察』を実施いたします」
「……それは誘拐とどう意味が違うんだ?」
「護衛船団を組みたくないほど急ぎで運ばなければならない荷物であれば、事前に軍か行政府に連絡があると思われます。連絡なしに独航する船があるとしたら大変興味がありますね。果たして何を積んでいるか、ここが帝国戦力圏内で、さらに三〇年前だったらと思う次第です」
俺の返答に、室内にいる艦長達は呆れ顔で俺を見つめた。三〇年前まで同盟軍は帝国勢力圏内での私掠戦術が、非公式ではあるが公認されていたのは事実だ。ダゴンの殲滅戦で勝利を得ていたとはいえ、同盟政府は帝国の国力とは比較にならないほど小さいことを意識していたし、事実であったから敵の補給線を圧迫する目的で帝国領内における商船への略奪行為を実施していたのだ。
もちろん現在でもバーゾンズ元
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