第37話 官僚
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カップが音を立てて小躍りした。先ほどまでの官僚的な口調はどこへやら。ヒステリー一歩手前のキレ具合だ。バリバリのキャリア中央官僚が、こんなド辺境に流された要因はどうやらその辺りにあるのかな、などと余計なことを考えつつ女史が落ち着くのを待ってから話を切り出した。
「これはあくまでも軍部からの提案です。経済産業庁にて詳細をご検討いただき、近々に軍管区司令部と連名にてマーロヴィア民主評議会と行政長官連絡会議に諮っていただければと」
「軍人にしてはよくできてるとは思うけど、幾つか要素計算を間違えているわね。この起算は帝国軍を相手にしたものでしょう。国内民生の範囲ではもう少し弾力性を持たせないと時間ロスが大きくなるわ」
「その辺りのフォローもお願いいたします。それとですが……」
「まだあるの? こんどはなに?」
「まだ計画段階なのですが、近々にメスラム星系の小惑星帯において、大規模な機雷掃宙訓練を実施したいと考えておりまして」
「馬鹿じゃないの! あんたたち軍部は!」
せっかくセットされた頭を掻きむしってソファから立ち上がった女史の叫声は、先程の比ではなかった。
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