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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第36話 鎌研ぎ
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卒上りの准将である爺様に対し、エリート少将として『相応な』態度をとったのだろう。

「ジュニア?」
 ファイフェルの囁きが終わったのを見計らったように、爺様は俺を呼びつけ報告するよう無言で顎をしゃくった。改めて敬礼してブロンズ准将との会話を報告すると、まるで蒸気機関車の加減弁ように荒い鼻息で答えた。
「予想通りの長期戦じゃな」
「状況開始より終了まで最低でも三年を見込んでおります。進められるところから進めていくという形しかありません」
「貴官に焦りはないな?」
「こういう病気は根治に時間がかかると思いますし、体力が整わない段階で手術を急いでも、あまり良い結果は出ないと考えます」
「……そうじゃのう」

 そういうと爺様は腹の上で手を組むと、落ち着かせるように二度ばかり深呼吸をしてから、改めて俺とファイフェルを見つめて言った。
「儂はこう見えて若い頃はヤンチャでな。士官学校出身者など何するものかと、いろいろと焦っておったものじゃ」
 もしかしてここは笑うところだろうかと考えたが、ファイフェルのなんとも言えない視線を感じて、俺はフィッシャー中佐直伝の顔面操作術で完璧にスルーした。それで理解したのか、ファイフェルも同じように無表情で爺様の話に耳を傾ける。
「特に戦場を長年うろうろしていたから、こういうことに儂は若干疎い。いずれにしても、儂も少し血が上っていたようじゃ。ここはジュニアを見習って、少し自重でもしようかの」

 ……若いのはすぐにいい気になるからな、と言っていたのは果たして誰だったか。俺は胸の内で首をかしげながらも、爺様の話に耳を傾けるのだった。


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