第二章
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その猫を指し示しつつだ、猿野は盛田に話した。
「名前はニャーコって名付けました」
「猫だからか」
「そうなんです、こいつの世話で」
「ずっと帰りが早いんだな」
「そうなんですよ、じゃあこれから」
「ああ、一緒にか」
「飲みましょう」
猿野は盛田に言ってだった、二人で家にあがった。そしてだった。
リビングで飲みはじめたが盛田は乾杯の後で言った。
「家の中変わったな」
「そうですか」
「ああ、前は散らかってたけれどな」
「女房が出てからですね」
「男一人の家だってな」
まさにそうした感じでというのだ。
「そうなってたのにな」
「こいつがいるとですね」
何時の間にか自分の傍にいるニャーコを指差した、見れば。
ニャーコは座って後ろ足で耳を掻いている、如何にも猫らしい仕草だ。そのニャーコを指差しつつ言うのだった。
「あちこち散らかしたり引っ掻いたり壊したりひっくり返したりで」
「それでか」
「その都度俺が戻したり掃除して。事前にそうならない様に整頓して」
「奇麗にしてるんだな」
「そうなりました、あとこいつ朝早くから飯催促するんで」
「早起きにもか」
「なりました」
そうなったというのだ。
「本当に」
「生活もあらたまったんだな」
「前は仕事がないと寝られるだけ寝てましたが」
「夜更かしもしてだな」
「早寝早起きにもなりました、あと猫と一緒にいると」
家でも焼酎を飲みつつだ、猿野は話した。
「飯やったり世話したり遊んだり」
「そうしてか」
「楽しいですよ、癒されますし」
「みたいだな」
「はい、言うこと全然聞かなくて好き勝手しますけれど」
笑顔で言うのだった。
「それがまたよくて」
「猫が家にいるとか」
「凄くいいです、お陰で健康にもなって」
「酒も減ったんだな」
「素面だと猫の世話しにくいですからね」
「酔ってると動きも考えもまともじゃなくなるからな」
「ですから」
それでというのだ。
「前程飲まなくなって」
「それでか」
「余計に健康になりました」
「いいこと尽くめだな」
「このままずっといたいですね」
猿野はニャーコ、今は丸くなっている彼女を見て笑顔で言った。
「本当に」
「ずっとか」
「ええ、猫と」
満面の笑顔での言葉だった、盛田はその笑顔を見てそれならとなってだ。
彼に猫関係の仕事を話した、すると猿野も乗ってそこから新しい仕事も得た。
盛田はすっかり猫そして動物に詳しくなりそれまでは芸能関係の仕事ばかりだったのが今では猫や動物関係の仕事がメインになっていた、それでだった。
盛田に出版社で会ってもこう言うのだった。
「充実していますね」
「仕事の方もだな」
「家の方も」
その両方がというのだ。
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