第97話 罰と誓い
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け寄りました。
「あ、揚羽! 大丈夫か! 今直ぐ傷を直すから」
私は大慌てで彼女の血で汚れた着物の箇所に手をやりました。
「ま、正宗様・・・・・・、そ、その・・・・・・ように、直ぐに傷をい、癒され・・・・・・ては罰の意味が・・・・・・ありません。ほ、骨が折れたかもしれませんが・・・・・・命別状はありません」
揚羽は力無く頭を上げることなく、途切れ途切れの声で言いました。
「揚羽、何も言うな。私にはお前が必要なんだ」
私は揚羽の言葉を制止して、治療を施しました。
「ま・・・・・・正宗様・・・・・・お気持ちは嬉しいです・・・・・・。ですが、後のことは家の者に任せ、あなた様は・・・私のことは捨て置いてください」
「そんなこと出来る訳ないだろう」
私は揚羽の言葉に拒否感を抱きました。
「ま・・・・・・正宗様は・・・・・・変わられるので・・・・・・ご、ございましょう?」
「変わるが、こんなお前を放っとくことなんか出来る訳ないだろう」
私は狼狽した表情で言いました。
自分でやっておいて何を言っているんだと自分に言ってやりたいですが、それどころではありません。
揚羽だけでなく、真悠にも治療を施さなければ・・・・・・。
私は完全にパニック状態に陥っています。
「正宗様、治療は・・・・・・明日の朝に・・・・・・でもお願いいたします。今日は・・・・・・」
揚羽はそれだけ言うと意識を失いました。
「お、おい、揚羽は何も言わないぞ!」
私は揚羽が気絶したのを確認すると周囲を見渡しました。
「正宗様、落ち着いてください。揚羽様は気絶しているだけです。棒叩きと言っても、この刑罰で死ぬ場合もありますからね。この刑罰をまとも受けるから、揚羽様達はこのようになったのです。普通は金を掴ませて、刑の執行役に手心を加えて貰うものですから〜」
「風、何を暢気に言っている」
「揚羽様も言われたではないですか? これは罰なのです。刑の執行は終わりました。正宗様は政務にお戻りください。後の事はこの風にお任せなのです」
風は私にアメを突きつけ、ポーズを決めました。
「そ、そんなこと」
「揚羽様のお言葉をお忘れなのですか?」
風は私の言葉を制止するなり、真剣な表情で見つめ言いました。
「分かった」
私は風にそれ以上何も言わず、後ろ髪を引かれる想いを抱きつつ踵を返しました。
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