第二章
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「酷いな」
「かなり痩せてるわね」
「毛も荒れててな」
「傷跡あちこちにあるわね」
「ああ、拾った時にはな」
まさにとだ、拓哉は両親に話した。
「死にそうだったんだよ」
「それで病院に連れて行ってか」
「助かったのね」
「もう少し遅かったら危なかったらしいぜ」
その猫を見ながら両親にさらに話した。
「こいつな」
「そうだったんだな」
「助かってよかったわね」
「それでな」
拓哉はこうも言った。
「バイト代すっからかんになったよ」
「猫のお金でか」
「獣医さん高いらしいから」
「ったくよ、折角バイク買おうと貯めてたのにな」
免許も取って後はそれだけだった。
「獣医さんにお金払ったらなくなったよ」
「それ位俺達が出すけれどな」
「バイクでお買いものとか頼むし」
「俺のもの買うから俺で稼ぐさ」
それはというのだ。
「もうね」
「そうするか」
「あんたそこはしっかりしてるわね」
「これ位はな、また稼ぐか」
「そうするか」
「じゃああんたがそう言うならね」
「ああ、それでこいつうちで飼うんだな」
両親にあらためて尋ねた。
「そうするんだな」
「ああ、母ちゃんが言ったからな」
「そうするわ」
角刈りに痩せた身体の父の文太もすっかり太って黒髪を短くしている母の秀子も言ってきた。こうしてだった。
猫は拓哉の家で飼われることになった、家猫となりキャットフードやトイレも用意されて育てられることになったが。
「ニャア・・・・・・」
「中々懐かないんだよな」
拓哉は休日家に来た友人達に言った。
「これが」
「ずっと野良だったからか」
「それでいじめられていたみたいでか」
「随分酷い目に遭ってたみただしな、栄養失調で身体傷だらけだったしな」
それでとだ、丸坊主の木村と赤髪を伸ばした洲上に話した。二人共同級生で学校では仲良くだべっている。
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