第23節「君でいられなくなるキミに」
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…ッ!」
二人の身体からは高熱が発されており、秋だというのに周囲は陽炎が揺らいでいる。
そして、響と翔の胸からは、結晶化した聖遺物の欠片が突き出していた。
「嫌ッ! 響……ッ!」
「ダメだ小日向さんッ!」
「よせッ! 火傷じゃすまないぞッ!」
駆け寄ろうとした未来を、クリスと恭一郎が押さえつける。
「でも、二人がッ!」
「落ち着いて、未来さんッ! 今飛び出して、未来さんに何かあったら、悲しむのは二人なんだッ!」
「ッ……!」
恭一郎の言葉で踏み止まる未来。
そこへ、バイク音と共に翼が現れた。
両脚のブレードをバイクの前面に展開し、翼は車両を大きくジャンプさせる。
狙いは翔と響の隣に立つビルの屋上、貯水タンクだ。
〈騎刃ノ一閃〉
切断された水タンクから、貯まっていた水が滝のように降り注ぐ。
翔と響が発する高熱で一部が熱湯化し、湯気と共に飛び散るが、クリス達の前に立った純が盾を展開し、火傷するのを防いでいた。
湯気に包まれ、水浸しとなる周囲。
バイクを降りた翼が、悔し気に呟いた。
「私は、二人を守れなかったのか……」
「私は? 守れなかった? なんだよそれッ! お前、あいつらが、こうなるとでも知ってたのかッ! おいッ!」
「クリスちゃんッ!」
翼に詰め寄るクリスを諫め、純は静かに言った。
「知ってたんですね……。でも言わなかったって事は……二人の状態は命に関わる。そうなんでしょう?」
「ッ! おい……そいつはどういうことだよッ!」
「私だってッ! 私とて、受け入れるなど、出来るものか……」
「お前……」
これまでに見たことのない翼の表情に、クリスも口を閉ざすしかなかった。
「ねえ、二人ともしっかりしてよ! ねえってば! 翔くん、響ィィィィィ……ッ!」
「こんな……ことって……」
互いの方を向いて倒れ伏す二人に、泣き崩れる未来。
恭一郎はただ、その場に立ち尽くすしかなかった。
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