第23節「君でいられなくなるキミに」
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頃、召喚されたノイズは全て消滅していた。
「響け響け(ハートよ) 涙超えろ(ハートよ) へいき(へっちゃら) もうイタクナイ──」
「所詮、貴様は策が無けりゃ賢しいネズミ。雑兵を並べることしかできない魔法の杖に頼るしかないんだよッ!」
響の右腕のアーマーが、ナックル型へと変形する。
翔もまた、弓に光矢をつがえ、天へと向ける。
博士が自らを守る壁とするようにノイズを並べる中、響の両脚にジャッキが展開された。
「行け、響ッ! 最速最短、一直線だッ!」
響のジャッキが伸縮するのに合わせ、翔は空へと矢を放つ。
〈流星射・五月雨の型〉
分裂した矢が雨のように降り注ぎ、ノイズを一掃する。
そして響は、一直線にノイズの壁を突破し、ウェル博士へと迫った。
狙うは峰打ち、寸止めだ。
「はああああッ!」
「うわあああああッ!」
ドクターが悲鳴を上げた、その瞬間──黒い円形の壁が響の拳を遮り、火花を散らす。
「──盾?」
「いや、これは……ッ!」
ノイズを倒し、響の方を振り返った翔より先に、その答えが返ってきた。
「なんとノコギリ」
「調ちゃん、切歌ちゃん……ッ!」
ウェル博士の背後に立っていたのは、頭部のアーマーより伸びる丸鋸を高速回転させる調と、それを支える切歌の二人。
商店街の方から、戦闘による爆発を見て駆けつけたのだ。
「この身を鎧うシュルシャガナは、おっかない見た目よりもずっと、汎用性に富んでいる……防御性能だって不足無し」
「それでも、全力の二人がかりでどうにかこうにか受け止めているんデスけどね……」
調を支える切歌の肩アーマーは、アンカーとして地面に打ち込まれている。
「ごめんね、切ちゃん。わたしのヒールじゃ、踏ん張りがきかないから……」
「いいってことデス!」
そこへ、二課と同じくノイズの反応を検知したエアキャリアからの通信が入る。
『まもなくランデブーポイントに到着します』
『聞こえているわね、二人ともッ!』
「ドクターを回収して、速やかに離脱……」
「それはモチロン、そうなのデスが……」
「……ッ!」
突破は不可能と踏んだ響は、そのまま飛び退き距離を取る。
響が離れると同時に、調も丸鋸を収納し、切歌はドクターを抱えながら後退した。
「あいつら相手に、言うほど簡単ではないデスよ……ッ!」
睨み合う両者。
すると、響が突然、胸を抑えながら苦しみ始めたではないか。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「響……くッ……ぜぇ……ぜぇ……」
駆け寄ろうとした翔も、同じ場所を抑えながら息を荒げる。
膝をつく二人の胸の傷は、激しく光り輝いていた。
(あの二人……)
(苦しんでる……デスか?)
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