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3章 穏やかな日々
32話 ある女の子
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。しかし、かといって自分たちができるか、と言われれば答えはノー。

 最前線を開拓できる数少ないプレイヤー(現在は休止中であるが)として、常に最優先は攻略だということは、リアとツカサの同意見だった。

 が、この無視できない状況。

「あああ…どうしたもんか…」
 
 リアは珍しくその整った顔立ちに憂いを浮かべ、深くため息を吐いた。


―?―?―?―?―?―?―?―?―?―

 外に出れば、少し冷えた冷たい空気が肺を満たす。すでに日は高く上りきっているというのに肌寒い。冬の足音がすぐそばまで来ていることを感じ、リアは思わず空を見上げる。

 どこまで茅場は現実世界に近づけたかったのだろうか、その青空はまさに冬の空色だ。夏より澄み渡る薄い青。

 この空は日本までつながっていると故郷を思い出しながらなんど見上げたことか。

 リアがそんな感傷に浸っている時だった。

 隣の家(と言っても、10メートル程度離れている)の扉が唐突に開き、話声と共に3人の人間が出てくる。

「パパ〜、抱っこ!」
「おー、いいぞ!」
「キリトくん、すっかりパパが板についちゃったね」

 …ん?

 リアは思考が完全停止した。

 あれぇ、なんでこんな辺鄙(へんぴ)なところかつ、マイホームの隣から聞きなれた男女の声が聞こえてくるんだ?おまけに、幼女の声までして、パパと呼ばれている男がいるぞ?

 ちらりとリアがツカサを見上げれば、ツカサも固まっていた。そして、2人でゆっくりと声のほうを向く。

 そこには、幸せそうな3人家族…そして、そのうち2人は、リアとツカサのよく知る人物だった。

 リアとツカサの凝視に気がついたその夫婦もこちらを向き、バッチリと視線が交差する。

 男にしては少々長めの黒髪にやや女顔の少年、そしてもう一人は栗色のロングヘアを揺らし、大きなハシバミ色の瞳を持つ少女。

 …もう、これは疑いようがなかった。

 この世界にドッペルゲンガーというものがなければ。

 間違いなく、彼はリアの従弟で、彼女はツカサのはとこだった。

 そして、ピシャァァァン!と雷でも落ちたかのように静まり返るこの状況の中、まったくその雰囲気にそぐわないかわいらしい声が一つ。

「パパ?ママ?」

―?―?―?―?―?―?―?―?―?―
 
「まっさか、キリト達のホームがうちの隣なんてねぇ…」
「確率にしたらとんでもないぞ…」

 一端キリトとアスナの家にお邪魔させてもらい、アスナの淹れたお茶をすすりつつ、リアとツカサはまあ状況を受け入れていない様子で呟いた。勿論、2人のセリフはキリトとアスナも言いたいものだ。

 というか、未だにホームの場所を教えていなかったことに、今更気
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