第22節「この拳も、命も……」
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放せない住民が少なくないらしい。
『唐青家』、『童夢』、『武藤ゲーム』、『明白堂』、『寺野屋』、そして『ふらわー』……。
飲食店や菓子店、ゲームショップなどが多いところを見ると、ルナアタック以前はきっと、学生たちの溜まり場になっていた場所かもしれない。
「ん〜……だけど、急いでドクターを探さなきゃ」
「お……そうだね。うん、そうするデースッ!」
調の言葉に、切歌は拳を天へと掲げ、えいえいおーと気合を入れなおす。
二人は、手を繋ぎながら商店街を走り抜けていくのだった。
そして、通り過ぎた一軒のお好み焼き屋『ふらわー』の中では、店主のおばちゃんが使われたばかりの食器を洗っていたことは、二人が知る由もないのだった。
ff
「もうッ! 復帰早々お仕事だなんて、弦十郎くんも人使いが荒いんだからッ!」
数か月ぶりの白衣に袖を通しながら、彼女は弦十郎に抗議する。
「すまない。しかし、緊急事態だ。君には悪いと思っているのだが……」
「な〜んて、冗談よ。報告書は読んだけど、私がいない間になんだか大変なことになってるじゃないの」
「だからこそ、君の力を貸してほしいんだ。了子くん」
「モチのロンよ〜! ようやくあの独房みたいな病室から抜け出せたんだもの。好きなようにやらせてもらうわ」
櫻井了子は、指で眼鏡の位置を直しながらそう言った。
「それで、目下一番の問題は、翔くんと響ちゃんの融合症例……そうよね?」
「ああ。これ以上ギアを使い続ければ、遠からず二人は……。幸い、翔からはブレスレットを預かってある。これでギアを纏う事は無いはずだ。問題はギアの破片そのものと融合してしまっている響くんだが──」
弦十郎がポケットから翔のブレスレットを取り出した瞬間、了子の目の色が変わった。
「……ッ!? 弦十郎くん、そのブレスレット外させちゃったの!?」
「む? ああ。翔のギアは、こいつに内蔵されたRN式コンバーターで、胸の聖遺物の欠片を活性化させることで形成されているんだろう? なら、こいつを外せば、胸の聖遺物は活性化しない……違うのか?」
「ええ、それは間違っていなかったわよ……昨日の暴走が無ければね」
「何だとッ!?」
了子は翔と響のレントゲン写真を見比べながら言った。
「弦十郎君が言ってるのは起動方法の方。その身に溢れる聖遺物の力をRN式からのバリアコーティングで抑え込むことで、ギアの形として形成する。それが翔くんの疑似シンフォギアよ」
「という事は……まさかッ!」
「ええ……。それに加えて、翔くんと響ちゃんって付き合ってるのよね? 戦場に出るときも、よくバディを組んでるくらいの」
「ああ、そういう事になるが……」
「それはつまり、響ちゃんの歌に一番近い場所で触れているとい
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