第22節「この拳も、命も……」
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「リンゴは浮かんだお空に──♪」
(……マリアの歌……)
マリアの口ずさむAppleに、ナスターシャ教授は目を覚ます。
自分がベッドに寝かされていることに気付いた彼女は、昨夜何があったのかを思い出す。
(優しい子……。マリアだけではない。私は、優しい子達に十字架を背負わせようとしている……)
「ルルアメルは笑った とこしえと──♪」
優しさなど捨ててしまえ。
組織の長として、昨夜はそう言った手前であるが……マリアの歌を聴いていると、自分が年端もいかない子供達に、どれほど重たいものを押し付けようとしているのかと、今更ながらに後悔が込み上げてくる。
(私が……間違っているのかもしれない……)
身体を起こしたその時、壁に取り付けられたモニターに音声通信が入った。
「──私です」
『──っとと……。もしかして、もしかしたらマムデスかッ!?』
『具合はもういいの?』
声の主は切歌と調。
昨夜からドクターを探し、東京都番外地区内を歩き回っているのだ。
「マリアの処置で急場は凌げました」
『よかった……』
『うん……。──で、でね、マム……待機してるはずのアタシ達が出歩いているのはデスね……』
「分かっています。マリアの指示ですね?」
『はあああ……』
『マムの容態を診ることができるのは、ドクターだけ……でも、連絡が取れなくて』
マリアはナスターシャ教授が微笑んでいることに驚き、目を見開く。
「二人とも、ありがとう。では、ドクターと合流次第連絡を。ランデブーポイントを通達します」
『了解デスッ!』
通信を終えたナスターシャ教授は、マリアの方を向くと、穏やかな口調で言った。
「マリア、あなたも……ありがとう」
「マム……」
「さあ、出立しますよ。ツェルトはどこですか?」
「ツェルトなら、多分自室かシミュレーターじゃないかしら?」
「では、後で呼びに行ってください」
「わかったわ」
そう言ってマリアは、ナスターシャ教授を車椅子に座らせる。
武装組織フィーネは、少しずつだが変わろうとしていた。
「はあ〜、まさかマムが出るとは思ってもいなかったデスよ……」
切歌は緊張で強張っていた肩を落とし、溜息を吐く。
「でも、本当に良かった」
「うん」
調と顔を見合わせたその時、切歌のお腹がグーと鳴った。
切歌は頬を赤らめながら、後頭部を掻いた。
「おっと〜、安心した途端にこれデスよ〜」
「今日は朝から何も食べてないから」
「どうするデス? ここでご飯、食べていくデスか?」
二人は周囲を見回す。
今いるのは、小さな商店街の一角らしく、周りにはいくつか店が並んでいる。
ルナアタックの後も、住んでいた家を手
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